公開日:2025.06.18 賃貸管理 ペット空室対策賃貸経営

空室対策でペット可にする場合の事前準備やメリット、注意点とは?

夫婦と柴犬

ペットと一緒に暮らしたい人が増えている一方で、賃貸住宅ではペット可物件はまだまだ少ない状況です。「ペット可物件」にすることで入居者の幅が広がり、空室対策が期待できます。

しかし、安易にペット不可からペット可物件へ切り替えると、トラブルや管理面での負担が増えることもあります。

ペット可物件のメリットや注意点、スムーズな導入のために押さえておきたいポイントを分かりやすく解説します。

空室対策でペット可物件にするための事前準備

空室対策の一つとして物件をペット可物件にする方法があります。ペット可物件にすることで、入居者の幅が広がるのが利点です。

現在ペットを飼っている人や、これからペットを飼いたいと思っている人が入居対象に加わるため、入居が決まりやすくなるでしょう。

分譲マンションではペット可の物件が一般的になりつつありますが、賃貸住宅ではペットが飼える物件がまだまだ少ない傾向です。

ペット可の賃貸物件について詳しく解説していきます。

  • ペット可物件の需要について
  • ペットを飼っている世帯数
  • ペット可物件にするために必要な準備

ペット可物件は一定の需要がある

近年、ペットと共に暮らすことを希望する世帯も増えており、賃貸住宅におけるペット可物件の需要が高まっています。

ペット

上記は、賃貸住宅経営者の投資意向(右側)と入居者のニーズ(左側)をまとめたグラフです。

グラフによると、入居者の4人に1人がペット可の物件を希望しています。また、経営者側も約2割がペット可住宅の導入を検討しています。

ペット可物件は入居者からの支持を獲得する可能性が高く、空室対策としても有効な方法といえるでしょう。

参考:賃貸住宅オーナーへの提言レポート2025年3月(15〜17P)|一般財団法人住宅改良開発公社

ペットの飼育率はおよそ500万世帯

2024年時点での犬の飼育頭数は約680万頭、猫の飼育頭数は約915万頭です。飼育世帯数では、犬・猫共に約500万世帯を超えています。

2013年の犬の飼育世帯数は約700万世帯で、現在に至るまで減少傾向にあるものの、猫の飼育世帯数はわずかですが増加傾向にあります。

ペットの飼育率に大きな変化は見られませんが、500万世帯という数字はペットと暮らすことを希望する人が非常に多いということです。現在、賃貸物件ではペット不可というところも多く、ペットを飼っている入居者にとっては物件の選択肢が限られています。

ペット可物件にすることは、ペットがいる入居者のニーズに応えるとともに、入居率を上げることに繋がるでしょう。

参考:一般社団法人ペットフード協会|全国犬猫飼育実態調査

ペット可物件にするために必要な準備

現在、賃貸経営している物件をペット可物件にするために、オーナーは何をしたらよいのでしょうか。

ペット可物件にするために必要な準備は以下のとおりです。

  • ペットに関する規約の設定
  • ペットが暮らしやすい設備の導入

それぞれ解説していきます。

ペットに関する規約を設定する

ペット可物件にする場合、ペットに関する規約を設定する必要があります。以下は、規約の一例になります。

  • 飼ってよいペットの種類や頭数の設定
  • ペットの予防接種やワクチンの接種状況の提出
  • ペットが原因で生じた傷や汚れの費用負担
  • 敷金や退去費用、原状回復の負担割合

上記の内容は「ペット特約」として規約に記載しておいた方が良いでしょう。

ペットの種類については、犬または猫のみ、犬猫のほかにカメやヘビなどの爬虫類もOKとする場合などさまざまあります。さらに、犬の場合は小型犬のみ許可するのか、大型犬も許可するのかなどといった取り決めが必要です。

また、ほかの入居者やペットが安心して暮らせるように、ペットの予防接種やワクチンの接種状況の提出を義務付けることをおすすめします。

ペットを飼っている場合、原状回復の費用が通常より多くかかることが想定されます。

そのため、敷金を多めに設定したり、ペットによる傷や汚れが生じた場合の借主負担の範囲をあらかじめ定めておくとよいでしょう。

なお、特約の内容は国土交通省のガイドラインなどを参考に、合理的な範囲で設定するようにしてください。妥当性がない内容の場合は費用を請求できないことがあります。

関連記事:ペットの飼育による原状回復はオーナーが負担すべき?過去の判例も解説

ペットと共生しやすい設備を用意する

規約の設定だけではなく、実際に生活する物件をペットと共生しやすいように設備を整えることも必要な準備です。

犬や猫の場合、一般的なフローリングでは滑りやすく、ペットの足腰に負担がかかってしまいます。そのために、ペット用の床材に変更する必要があります。

ペット用の床材は滑りにくいだけでなく、傷に強いことに加え、臭いがつきにくく掃除がしやすいといったメリットがあります。

床材以外にも、壁を爪で研がれても問題ないように腰壁を設置したり、ペットが逃げ出さないよう玄関などにフェンスを設置したりすることも検討してみましょう。

空室対策でペット可物件にするメリット

空室対策のアイデア

空室対策としてペット可物件にすると、さまざまなメリットがあります。

  • 賃料をアップしやすくなる
  • 競合物件と差別化を図れる
  • ターゲット層(入居対象者)が広がる

賃貸住宅でペット可物件にすることは、空室対策として非常に有効といえます。上に挙げたそれぞれのメリットについて詳しく見ていきましょう。

家賃が高くても入居者を獲得できる

前述したとおり、分譲マンションと比較すると賃貸物件でペットが飼える物件はまだまだ少ない状況です。

エリアによっては、今まで設定していた家賃より5,000円〜10,000円程度上げても、ペット可というだけで入居を希望する人は現れるでしょう。

競合物件と差別化を図れる

周辺に同条件の競合物件があった場合、ペット可物件は差別化を図れます。特に周辺にペット可物件がなければ、大きく差をつけられるでしょう。

また、築年数が経過していたり、駅から遠かったりといった不利な条件の物件でも、ペット可にすることでペットを飼っている人にとっては魅力的な条件となります。

ターゲット層を広げることができる

ペット可物件にすることで、入居者の幅を広げることができます。現在ペットを飼っている人や、これからペットを飼いたいと思っている人が入居対象者に加わるため、今までよりも入居が決まりやすくなるでしょう。

周辺にペット可物件が少なければ、その効果をより実感することができます。

空室対策でペット可物件にする場合の注意点と対策

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一定の需要があるにもかかわらずペット可物件が増えないのは、ペットを飼うことに関して注意すべきことが多いからでしょう。

ペット可物件にする場合の注意点としては以下のことが挙げられます。

  • 共用部分が汚れる恐れがある
  • 既存の入居者から苦情が出る可能性がある

それぞれ詳しく解説していきます。

共用部分が汚れる恐れがある

ペット可物件の場合、ペット不可の物件よりもエレベーターや廊下などの共用部分が汚れる可能性があります。

ペットによる汚れの主な原因として、以下のケースが挙げられます。

  • 排泄物の放置:共用廊下などにペットが排泄し、それが放置されるケース
  • 毛の飛散:ペットの抜け毛が共用部分に飛散して残るケース
  • 臭いの残留:動物特有の臭いが建物に染みつくケース
  • 傷や引っ掻き跡:爪で壁や床、扉などに傷がつくケース

共用部分を綺麗で清潔に保つために、以下の対応を行うとよいでしょう。

  • 共用部分でのルールを決める(例:共用部での排泄禁止や、エレベーター内ではケージを使用するなど)
  • 清掃体制の強化(清掃頻度を増やし、汚れやすい場所は重点的に清掃するなど)
  • 共用部分に防滑、防臭素材のマットやカーペットを敷く

綺麗に使用してもらうためにはルールの設定など対策が必要です。

既存の入居者から苦情が出る可能性がある

動物が苦手という人もいるため、既存の入居者から苦情が出る可能性があります。

もともと「ペット不可」ということで契約した入居者にとっては、環境の変化による不満や不安が生じやすいため、慎重な対応が求められます。

ペットを飼っていない入居者との間で起こりやすいトラブルの例をいくつか紹介します。

トラブルや苦情の内容 具体例
騒音トラブル 夜間や早朝の鳴き声による非飼育者からのクレーム
悪臭の苦情 共用部分やゴミ捨て場に漂う排泄臭や動物特有の体臭による苦情
アレルギー誘発 共用部分で抜け毛が飛散し、アレルギーを誘発してしまう
放し飼いの苦情 リードを付けずに共用部分を歩かせ、ほかの住民を怖がらせる
ペットとの接触 ほかの住民へ飛びついたり吠えたりする

上記のようなトラブルをできるだけ少なくするためにも、事前に既存の入居者に十分説明し、必要に応じて同意を得ます。そして、賃貸契約や管理規約などの変更が必要な場合は、適切な手続きを行いましょう。

ほかにも、共用部分でのルールを明確化したり、飼育者向けにペット飼育のガイドラインなどを配布し、マナーの向上を図ったりすることもトラブル回避の対策としておすすめです。

今までと変わらず安心して暮らせるように既存入居者への配慮や説明、ルールの設定を行うことが非常に大切です。

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