不動産収入があっても確定申告が不要なケースを解説【20万円以下から?】



不動産収入を得ていても、確定申告が不要な場合があることをご存知でしょうか。


今回は、不動産収入や不動産所得の基本的な考え方から確定申告の要否まで、説明していきます。




そもそも不動産収入と不動産所得はどう違うか


簡単に言えば、不動産収入から経費を差し引いたものが、不動産所得です。


まずは、確定申告に必要な、不動産投資の儲けに関する用語について解説します。


不動産収入にはどんなものがあるか


不動産収入とは、土地や建物などの不動産を他の人に貸した場合に、その賃貸借契約から発生する収入のことを指します。


具体的には、次のようなものがあります。


  1. 家賃収入

  2. 不動産の管理費収入、事務手数料収入

  3. 光熱費、共益費収入

  4. 礼金、更新料収入

  5. 駐車場の使用料収入

  6. 敷金・保証金のうち、返還しない部分の収入


不動産収入は家賃だけではありません。礼金や更新料、その他の権利金など、その不動産を借りている人から受け取るお金で、返済しないものは、不動産収入です。


ただし、投資用不動産の土地や建物を手放した場合の、売却収入や経費を差し引いた所得は不動産収入にはなりません。


不動産所得の経費に含むことができるもの


不動産経営において発生した経費は、確定申告の手続きに必要な不動産所得の計算をする際に、収入から控除することができます。


控除が認められる不動産の経費の種類は、次のようなものがあります。


  1. 投資用不動産の修繕費

  2. 不動産管理会社への管理委託費や仲介手数料、専門家報酬

  3. 金融機関からの融資の利息

  4. 投資用不動産の減価償却費

  5. 投資用不動産のための広告宣伝の費用

  6. 不動産取得税や固定資産税などの税金


修繕費は、建物や設備などを修理、取替をするのにかかる経費のことです。

ただし、不動産価値を高めるためにする大規模なリノベーション工事は、支払った年度にその全額を費用として計上することはできません。一定の年数(耐用年数)で、減価償却費として、経費按分をします。


交際費や会議費などの接待飲食代は、原則として、経費にはなりません。しかし、不動産管理会社の担当者への接待費用など、不動産収入に直接関係するための飲食費は、経費にすることができます。


重要なことは、不動産収入のためにかかった支払いであることです。すべての支払いが経費として認められるわけではないので、税務調査などで、説明できるように資料を保管しておく必要があります。


不動産所得にかかる税金


不動産所得にかかる税金の計算式は、以下のようになっています。


  1. 所得税 = (不動産収入 - 不動産経費) × 所得税率

  2. 個人住民税 = 所得割額 + 均等割(下表)


所得割額(総収入金額―必要経費等)×10%均等割4,000円


不動産所得にかかる所得税率は、総合所得にかかる税率です。


そのため、サラリーマンの場合、給与所得と不動産所得を合計したものが総合所得となり、その所得に適用される税率となります。


経費が大きくなればなるほど所得税と住民税の負担額が減少しますので、経費を適切に計上することが大切です。





不動産所得いくらから確定申告が必要か


再度、確認しますが、新しく不動産投資をはじめる際には、確定申告の手続きが必要となる場合があります。申告義務があるにもかかわらず確定申告の手続きをしなければ、罰金が発生することは必ず知っておきましょう。


給与以外の所得合計が年間20万円を超えた場合は確定申告が必要


所得税については、給与所得以外の所得合計が年間20万円を超えた場合には、確定申告の手続きが必要になります。事業所得や雑所得があれば、それらを合算して20万円を超えるかどうかで判断します。


サラリーマンの給与以外の所得は、賃貸収入や副業の収入による所得が代表的です。注意すべきことは、年間20万円の判定が、「収入」ではなく、「所得」で行なわれることです。


ただし、そもそも確定申告を行なわなければならばい場合には、20万円以下の所得であっても、それを含めたうえで確定申告が必要となります。例えば、以下のような場合です。


  • 医療費控除を確定申告で適用する場合

  • ふるさと納税でワンストップ納税を選択していない場合

  • 住宅ローン控除を年末調整で適用していない場合

  • 給与を2か所以上の会社から受け取っている場合


一方で、個人住民税については、給与所得以外の所得合計が年間20万円以下の場合でも、原則として住民税の申告書を提出する必要があります。


不動産所得が赤字の場合


不動産所得が赤字となった場合は、確定申告をすることで次のメリットがあります。


  • 年末調整で計算された給与所得の源泉所得税のうち、不動産の赤字部分の税金が税務署から戻ってくる

  • 給与所得がない場合や控除できない場合は、3年間その赤字を繰り越すことができる


確定申告をすることで、給与所得と不動産所得が合算して計算がされるので、その年間の合計所得が減少することになります。


そのため、年末調整で計算された給与所得の源泉所得税のうち、不動産の赤字部分の税金が確定申告の手続きにより自治体より還付されます。


ちなみに、この所得が合算されることを「損益通算」といいます。


また、その年は不動産所得以外の所得がない場合でも、確定申告の手続きにより、赤字部分をその翌年以降3年間繰り越すことができます。


不動産所得の場合、アルバイトなどの一般的な副業とは違って、初期の設備投資や手数料などの諸経費が多くかかるので、経費が収入を超えるケースがあります。


「赤字だから、確定申告は必要ない」ではなく、「赤字だからこそ、確定申告をして節税しよう」と考えるとよいでしょう。


高所得者は確定申告が必要


サラリーマンで、年収2,000万円を超える方は、給与所得以外の所得が年間20万円以下の場合でも、確定申告が必要です。年収2000万円を超える方は、年末調整の対象者から除かれているためです。


サラリーマンの場合、毎月の給与から概算の源泉所得税が控除され、その後年末調整が行われています。しかし、この手続きがなければ、確定申告の手続きにより、正しい年税額に調整する必要があるのです。


また、公的年金など(老齢基礎年金、老齢厚生年金、企業年金など)の収入金額が年間400万円を超えるかたも確定申告が必要です。




確定申告をスムーズにするためには?


確定申告をスムーズにするためにぜひ、以下のことを参考にしてください。


確定申告の手続き


確定申告は、国税庁のホームページの「確定申告書等作成コーナー」で簡単に手続きをすることができます。


確定申告書は、以下の流れで作成していきます。


  1. 確定申告に必要な書類の準備

  2. 決算書、確定申告書を作成する


不動産所得の確定申告で必要となる書類は、次の資料です。


  • 給与所得の源泉徴収票

  • 不動産の売買契約書

  • 固定資産税や不動産取得税の通知書や納付書などで、年間の納付金額がわかるもの

  • 火災保険や地震保険などの保険証券

  • 金融機関からの借入れの返済予定表で、年間支払利息がわかるもの

  • 賃借人との賃貸契約書

  • 管理費、修繕積立金、交通費、接待交際費、修繕費などの経費の領収書や請求書

  • 不動産賃貸の収支管理表

  • 青色申告控除の申請書や不動産事業の開始届(青色申告控除を受けるためには、不動産賃貸をスタートしてから2ヶ月以内に、税務署へ「青色申告承認申請書」を提出しなければなりません。)


自身の不動産所得に該当するものだけを準備すればよいので、上記すべての書類が必要になるというわけではありません。


決算書や確定申告書は、準備した書類に金額を順番に入力していけば、簡単に作成できます。途中で一時保存ができますので、休憩をすることもできます。


確定申告の提出期限は、原則として、翌年の3月15日までです。(2020年度の確定申告の提出期限は、新型コロナウィルスの影響で2021年4月15日です。)


税理士に依頼をする場合


自分で確定申告をすることが不安な場合は、税理士に依頼をすれば、確定申告書を代理で作成してくれます。


税理士に依頼するメリットは、正しく適切に確定申告ができることです。デメリットは顧問料の支払が発生することでしょう。


税理士の確定申告報酬の平均は、申告資料の準備以外のすべてを依頼した場合でも10万円~15万円程度が相場となっています。


なお、確定申告ができなければ、以下のような罰金があります。


  • 無申告加算税(納付税額が50万円まで15%、50万円超は20%)

  • 延滞税(期限から2月以内は、2.5%、それ以降は8.8%)


具体的に、納付税額が50万円の場合で、申告期限から1年後に税務調査で申告漏れが発覚した場合は、次の罰金の負担となります。




確定申告は、面倒で揃える書類も多く、非常に手間のかかる作業だと感じてしまいます。しかし、所得合計が年間20万円以下の場合であれば、確定申告をしなくていも良いかもしれません。ただし、事業所得や雑所得なども含めた全ての所得が20万円以下かどうかは、きちんと把握しておきましょう。


また、先述したように不動産所得が赤字の場合でも確定申告をすることで、節税に繋がることもあることを知っておきましょう。




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