騒音トラブルは大家の責任?賃貸アパートの騒音について義務や対処手順を解説



賃貸物件の中で、生活時間が異なる入居者が住んでいる物件や、小さな子どもが住んでいる物件では、頻繁に騒音トラブルが発生します。


今回は、騒音トラブルの責任がどこにあるのか、また、大家はどういった手順で騒音トラブルに対処すれば良いのかを解説します。



騒音トラブルにおける大家の責任


大家には、入居者から家賃をもらう対価として、良好な住環境を提供することが求められています。騒音トラブルの解決も、良好な住環境を提供することのひとつです。


ここからは、騒音トラブルに対する大家の責任と義務、責任を放棄した場合について詳しく解説していきます。


騒音トラブルの原因とは


騒音トラブルの責任は大家のものです。責任があるため、トラブルを解決することが求められます。


例えば、よく聞く騒音トラブルのひとつに「子供の足音」があります。小さな子供が走り回る音が周囲の部屋に響いてしまい、トラブルに発展することがあります。


「夜間の生活家電の音」もトラブルに発展する騒音です。周りから生活音が聞こえる日中では気にならない洗濯機や掃除機の稼働音も、静かな深夜では周囲の部屋まで響いてしまいます。


しかし、騒音トラブルは解決が難しいトラブルのひとつといわれています。建物の共同利用が前提となる賃貸物件では、生活音を完全に遮断することはできないためです。


どの程度の音が騒音に感じるかは個人差があるため、明確な基準はありませんが、目安となる数値は存在します。


入居者間での関係性や騒音の程度にもよりますが、環境基準とされている「40~60デシベルを超える騒音」が目安です。


なお、管理会社に物件管理を委託している場合は、管理会社が責任を受け持つことになります。


大家には告知義務がある


物件において「入居者に害を及ぼす欠陥」がある場合、全入居者に対してその欠陥内容を伝えることは、大家の義務です。「入居者に害を及ぼす欠陥」のことを瑕疵(かし)と言います。


大きく分けると以下の3つの瑕疵があります。


  • 物理的な瑕疵

  • 心理的な瑕疵

  • 環境的な瑕疵


この中で騒音は環境的な瑕疵に入ります。しかし、騒音の感じ方は個人差があるため、どういった場合に告知義務が発生するのか迷うかもしれません。


騒音に対する苦情が3回以上発生している場合は、告知義務があると思って間違いありません。また、大家自身が騒音に気付いた場合も告知義務があります。


大家が責任を放棄するとどうなる?


騒音トラブルへの対応を怠った場合、被害者から慰謝料や損害賠償を請求される可能性があります。また、被害にあった日までさかのぼった時期からの契約解除や、引っ越し費用といった経費に関しても請求されるケースがあります。


トラブルが大きくならないためにも、素早い対応が大切です。誠意をもって対処するのは、当然ですが、正しい知識を持っておくことも重要になります。





騒音トラブルの対処手順


騒音に対するクレームが発生した場合、どのように対応すれば良いのでしょうか。大きなトラブルに発展させないためにも、的確な対処が必要です。


ここからは、騒音トラブル発生における対処の手順と方法を解説します。


手順①トラブル発生の周知


はじめに行うことは入居者への周知です。騒音のクレームがあったことを入居者に文書で周知します。ポスト投函や掲示板を利用しましょう。


トラブル発生を入居者に伝えることにより、告知義務を果たすことになります。


手順②事実確認


トラブルが発生したことを入居者へ周知後、ヒアリングを実施します。ヒアリングの目的は事実確認です。感情論にならずに、客観的な視点を持って話を聞きましょう。


ヒアリングは被害者だけでなく、その周りの入居者へも確認を取ることで、事実関係を裏付けられます。状況を明確にするために、いつ・どこで・だれが・何を・どのようにといった内容を確認してください。


手順③騒音主への確認と注意喚起


事実確認ができたら、騒音主へ事実の確認と注意喚起を行いましょう。一方的な注意喚起だけでは、感情的になってしまうことがあります。


騒音と捉えた人がいることを伝えたうえで、騒音主の話を聞きましょう。騒音主の言い分も聞くことで、騒音主との信頼構築につながります。それにより、大きなトラブル発生の回避が可能です。


また、騒音主に被害者を特定されることは避けてください。もし被害者を特定された場合、騒音主から被害者へ直接苦情を言ってしまう可能性が考えられます。トラブルが大きくなる原因になるので気をつけましょう。


手順④被害者への報告


騒音主や他の入居者へのヒアリング結果と注意喚起したことを被害者に報告しましょう。私見が入ると感情論に発展する場合があるため、事実だけを報告してください。


あくまでも第三者として冷静に対処しましょう。対応が遅れる場合は、経過報告することも有効です。



騒音トラブル対処のポイント


トラブルが発生した場合、強制退去にまでいたることもありますが、簡単にはできません。

ここからは強制退去についての条件や、未然にトラブルを防ぐ方法について解説します。


強制退去は難しい?


日本では、賃貸借契約の賃借人、つまり入居者の立場の方が強いです。そのため、簡単に騒音主を強制退去させることはできません。


騒音主を強制退去したい場合、「賃貸借契約書の契約解除に関する規定」が重要です。他の入居者への迷惑行為の禁止や、騒音トラブルに関する注意事項が記載されていれば強制退去を要求できます。


この場合、貸主である大家と借主である入居者との「信頼関係が破綻している」ことがポイントです。注意喚起を何度しても改善がみられない場合、「信頼関係が破綻している」と判断されます。


しかし、騒音主が騒音の事実を認めなければ強制退去はできません。その場合は騒音を発生させていることがわかる証拠が必要です。


民法第400条によると、「建物など特定物について貸借する場合、社会通念上要求される程度の注意をもって使用しなければならない」という義務が定められています。


環境基準を超える騒音といった客観的な証拠や、複数からクレームが発生した場合は、信頼関係破綻の証拠となります。トラブルが解決しない場合は、このような証拠を用意しましょう。


強制退去を実行する場合、立ち退き料も必要です。相場は移転先の6カ月分の賃料および引っ越し費用と言われています。金額の交渉は口頭だけではなく、書面で確認するようにしましょう。


強制退去の交渉は簡単には進みません。最悪の場合、裁判となることも覚悟してください。


管理会社を入れている場合は任せる


管理会社はトラブル対応のプロです。管理会社に物件管理を委託している場合は、管理会社に対処を任せましょう。正しく対処してもらうことで、入居者全員の安心・安全を守るだけでなく、大家自身の負担も軽減できます。


騒音トラブルは未然に防ぐ


騒音トラブルは発生しないに越したことはありません。


未然にトラブルを防ぐ手段として以下のようなことがあります。


・防犯カメラの設置や目安箱の設置

・入居審査を厳格にする

・契約を「定期借家契約」にする

・入居者と顔見知りになる


防犯カメラの設置や目安箱の設置


防犯カメラの設置や目安箱の設置により、日ごろから入居者の状況を把握することで、クレームが発生する前に対処できます。


入居審査を厳格にする


生活時間といった騒音トラブルに発生しやすい要素を入居審査時に確認することで、トラブルに発展する要素を少なくできます。


契約を「定期借家契約」にする


契約を「定期借家契約」にすることで、強制退去時のハードルが下がります。「定期借家契約」は普通借家契約とは異なり、契約満了時の更新を前提としていない契約です。そのため、契約満了時での退去要請が可能です。


入居審査時に騒音の可能性が考えられる入居者には、はじめから「定期借家契約」にすることで、トラブル発生時の強制退去要請の負担が軽減できます。


入居者と顔見知りになる


入居者と普段から挨拶や雑談をすることで、お互いが顔見知りになり、迷惑を掛ける行動の抑止につながると言われています。


集合住宅内では、良好な人間関係の構築を意識しておきましょう。





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