2023.08.31 確定申告 不動産所得経費

アパート経営の確定申告で必要な書類!青色と白色の違いは?経費に該当するものは?

確定申告の書類を作成する女性

個人でアパート経営をしていて家賃収入がある場合、原則として確定申告が必要です。

確定申告は原則、毎年2月16日から3月15日までの間に行う必要があります。この申告期限を超えてしまうと、ペナルティとして追加で税金を支払うことになってしまいます。

アパート経営の確定申告で必要な書類をあらかじめ確認しておき、直前になってあわてないようにしましょう。

アパート経営における確定申告

確定申告は、一年間の所得を申告して、課される税金を計算するための手続きです。家賃収入は「不動産所得」という所得になり、どのくらいの所得があったかに応じて、所得税・住民税が課されます。

なお、所得は収入とは違います。

収入(得たお金)から、その収入を得るために必要とした費用(経費)などを差し引いた、利益にあたるものが所得です。そのため、持ち出し費用が多くて赤字であったなら、所得はゼロになります。

確定申告が必要なのは、年間の所得が20万円以上の場合です。赤字の場合は不要ですが、会社員が副業でアパート経営をしている場合など、ほかに所得があるときは、不動産所得が赤字でも確定申告を行うほうが有利です。

確定申告は、大きく次のふたつの方法があります。

  • 白色申告
  • 青色申告

主に帳簿の付け方などが異なり、青色申告が本来の正式な方法で、白色申告はその簡易版です。白色申告のほうが手続きは簡単ですが、青色申告で行ったほうがより大きい節税効果が得られる可能性があります。

ただし、青色申告を行うには条件もあるうえ、事前に税務署に届け出ておく必要があります。

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アパート経営の確定申告で必要な書類

確定申告のために必要な書類を以下の表にまとめました。

アパート経営の確定申告で必要な書類
必須の書類 確定申告書
【白色申告の場合】収支内訳書
【青色申告の場合】青色申告決算書
不動産所得を計算するためにあるとよい書類(提出は不要) 通帳
現金出納帳
賃貸借契約書
敷金・更新料について管理している帳簿など
家賃送金明細書(管理会社に委託している場合)
支払った経費の領収証
固定資産税など、税金の納付書・領収証
固定資産台帳
給与台帳(従業員に給与を支払っている場合)
年末借入金残高証明書(ローンを組んでいる場合)
管理委託契約書(管理会社に委託している場合)
そのほかの所得がある場合、必要な書類 源泉徴収票
支払調書
所得控除を受ける場合に必要な書類 生命保険料控除証明書
地震保険料控除証明書
小規模企業共済等掛金控除証明書
医療費の領収証
ふるさと納税や寄附の領収証

ただし、一般的な申告では上記があればよいですが、申告内容によって、それ以外の書類が必要になることもあります。

確定申告書

税務署の窓口や国税庁のホームページなどで入手できる、確定申告のための所定の書類です。所得の種類や申告方法によらず、確定申告のために必要な書類です。

確定申告書にはAとBのふたつの様式がありますが、不動産所得を申告するときはBを用います。

【白色申告の場合】収支内訳書

収支内訳書は白色申告の場合にのみ必要な書類です。売上や経費などの収入・支出をまとめたもので、確定申告書と同じく税務署の窓口や国税庁のホームページなどで入手できます。

様式は一般用・不動産所得用・農業所得用の3種類があり、アパート経営の確定申告をする場合は不動産所得用を用います。

【青色申告の場合】青色申告決算書

青色申告決算書は、青色申告の場合にのみ必要な書類です。収支内訳書の青色申告版と考えるとよいでしょう。

内容は、収入と支出をまとめたものという点では同じですが、資産の状況をあらわす貸借対照表なども含み、企業の決算書と同じような形式になっています。

そのため、記入するには複式簿記の知識が必要です。

様式は以下の4種類があります。

  • 一般用
  • 不動産所得用
  • 農業所得用
  • 現金主義用

アパート経営の確定申告をする場合は、不動産所得用を用います。

不動産所得を計算するためにあるとよい書類

確定申告で最低限必要な書類は、前述した確定申告書と収支内訳書または青色申告決算書です。

しかし、不動産所得を計算してこれらの書類に記入するためには、年間の賃料収入や支出した経費、アパート経営の状態がわかるものを集めておきましょう。直接、税務署に提出する必要はありませんが、確定申告書などを作成するための基本的な資料です。

たとえば、以下のようなものが考えられます。

不動産所得を計算するためにあるとよい書類
収入がわかる書類 通帳
現金出納帳
賃貸借契約書
敷金・更新料について管理している帳簿など
家賃送金明細書(管理会社に委託している場合)
支出(経費)がわかる書類 支払った経費の領収証
固定資産税など、税金の納付書・領収証
固定資産台帳
給与台帳(従業員に給与を支払っている場合)
年末借入金残高証明書(ローンを組んでいる場合)
管理委託契約書(管理会社に委託している場合)

そのほかの所得がある場合、必要な書類

会社員の方が副業でアパート経営をやっている場合など、不動産所得以外にも所得があるときは、そのほかの所得についても確定申告書に記入する必要があります。

会社員の方であれば、給与所得の額などがわかる源泉徴収票が、ほかの副業やフリーランスの仕事で報酬をもらったことがある人は支払調書などが必要です。

これらの書類は、給与や報酬の支払元から年末〜翌年1月頃までに発行されるのが一般的です。

所得控除を受ける場合に必要な書類

個人として生命保険に加入している、医療費の負担があった、など、所得控除を受けられる条件がそろっている場合、必要な書類を添付して所得控除を受けられます。

たとえば、次のようなケースがあります。

所得控除を受けられるケースと必要書類
ケース 受けられる所得控除 必要書類 入手方法
個人として生命保険などの保険料を支払った 生命保険料控除 生命保険料控除証明書 保険会社から10月頃に送付される
個人として地震保険の保険料を支払った※1 地震保険料控除 地震保険料控除証明書 保険会社から10月頃に送付される
確定拠出年金(iDeCo)などの掛け金を支払った 小規模企業共済等掛金控除 小規模企業共済等掛金控除証明書 金融機関から10月頃に送付される
医療費を支払った 医療費控除 医療費の領収証など 支払ったときに医療機関から受け取る
ふるさと納税や寄附を行った※2 寄附金控除 寄附金の領収証など 支払ったときに寄付先から受け取る
  • ※1 経営しているアパートにかけている地震保険の保険料は、個人の所得控除ではなく、不動産所得の経費として計上します
  • ※2 ふるさと納税でワンストップ納税制度を利用する場合、確定申告は不要です

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アパート経営における確定申告の注意点

確定申告は準備の手間や時間がかかる手続きのため、事前に注意するポイントを理解しておきましょう。

経費の考え方

前述したとおり、確定申告で申告する不動産所得は、受け取った家賃などの収入から、経費の額を差し引いたものです。

つまり、経費を正しく把握し、もれなく計上することで課税額も抑えられます。

しかし、なんでもかんでも経費にしてよいわけではありません。本来、経費にならないようなものまで計上してしまうと、不正な申告とみなされるおそれがあります。

間違えて計上しやすいものとしては、次のようなものがあります。

間違えやすい“経費として認められない”費用
ローン返済の元本部分 利息分のみが経費になります
物件の取得費 建築費や土地購入代金などは経費になりません
租税公課のうち経費にならないもの 個人の所得税・住民税や、延滞税など、懲罰的な性格を持つ課税など
修繕積立金 実際に修繕に使った分だけが経費になります
家事消費分 たとえば私用でも使う携帯電話の費用は、アパート経営のために使ったとみられる割合分だけが経費になります

関連記事:不動産所得で経費になる接待交際費はどこまで?具体的なケースを紹介

帳簿や領収証には保存義務がある

確定申告では、最低限、確定申告書と収支報告書か青色申告決算書を提出すればよく、それらの作成のために使った帳簿や領収証については、提出の必要はありません。

しかし、これらの書類は、いわば申告内容の証拠のようなものですから、税務署から求められればいつでも開示できるように保存しておく義務があります。

収入金額や必要経費を記帳した帳簿については7年間、そのほかの帳簿や領収証などの書類は5年間、保存しておくことが義務づけられているため、注意しましょう。

日頃からの準備が大切

確定申告は原則、毎年2月16日から3月15日までの間に行いますが、直前になって準備をするのは負担が大きいです。

逆にいうと、日頃からきちんと記帳をして収支を管理する、領収証などを整理して保管する、といった準備をしておけば手間はかなり軽減できますし、間違うリスクも減らせます。

収支を管理する方法としては、無料で使える「ビズアナオーナー」が便利です。ビズアナオーナーは、管理会社から受け取った収支報告書を送るだけで、自動的にデータ化してくれるサービスです。いつでもパソコンやスマートフォンから閲覧できるため、確定申告のときにもすぐに役立てられます。

また、収支管理以外にも、確定申告に向けてセミナーを受けるなどして簿記や税制についての理解を深めておくのがおすすめです。

会計や税務の理解が深まると、視野が広がり、アパート経営の効率化や経営戦略が見えてくることもあるでしょう。確定申告をただ面倒な手続きと思わず、経営スキルを高めるチャンスと考えて臨むことが大切です。

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