公開日:2025.04.09 / 最終更新日:2025.05.21 賃貸管理 賃貸経営

外国人入居者とのトラブル事例を紹介!原因や受け入れ時の注意点

大声でアナウンスする外国人女性

外国人の入居者数が増加傾向にある昨今、文化や習慣の違いからさまざまなトラブルが発生することがあります。外国人入居者とのよくあるトラブル事例と原因、トラブルを防ぐための注意点、そして外国人入居者を受け入れるメリットについて詳しく解説します。

外国人入居者とのよくあるトラブル事例と原因

外国人入居者とのトラブル事例を紹介!原因や受け入れ時の注意点

外国人入居者とのトラブルは、主に文化や生活習慣の違い、言語の壁によるコミュニケーション不足から発生することが多いです。実際に日本で起きている外国人入居者とのトラブルを見ていきましょう。
日本賃貸住宅管理協会の調査によると、外国人入居者とのトラブルの主な原因としては「生活ルールや住宅の使用方法を理解していなかった」「契約内容を十分に理解していなかった」「コミュニケーションがうまく図れなかった」の3点が挙げられています。

このような原因から、入居中や退去時にさまざまなトラブルが発生しています。次に、具体的な事例と対策を見ていきましょう。

入居中に起こったトラブル

入居中のトラブルは日常生活に関わるものが多く、継続的に発生する傾向があります。早期に対応しないと近隣住民との関係悪化につながる可能性があるため、注意が必要です。

生活音などの騒音問題

多くの国では住宅の防音性能が日本より高いため、騒音に対する感覚が異なります。また、国によっては深夜まで社交的な活動をする文化があり、日本の生活習慣との間に齟齬が生じることがあります。

例えば、深夜に大きな音で音楽を流したり、友人を呼んで大人数でパーティーを開いたり、会話やテレビの音量が大きかったりするケースが報告されています。日本賃貸住宅管理協会が実施した「外国人入居者の実態調査」(令和4年)によると、入居中に注意された経験のある外国人のうち、54.2%が「物音を注意された」と回答しています。
このようなトラブルを防ぐためには、契約時に日本の生活習慣(特に夜間の静粛時間)について説明することが重要です。また、騒音の基準について具体例を挙げて説明し、必要に応じて定期的な訪問で状況を確認することも効果的でしょう。

ゴミ出しのルール無視

多くの国ではゴミの分別制度がなかったり、日本ほど厳格でなかったりします。また、自国では指定日や指定袋の概念がない場合もあります。そのため、分別せずにゴミを出す、指定日以外にゴミを出す、指定の袋を使わずにゴミを出すといったトラブルが発生します。

同調査によると、入居中に注意された経験のある外国人のうち、52.1%が「ゴミの出し方を注意された」と回答しています。

このことからも、ゴミ出しに関するトラブルが非常に多いことがわかります。
このようなトラブルを防ぐためには、ゴミ出しのルールを視覚的に分かりやすく説明する資料を用意することが効果的です。自治体が提供している多言語のゴミ分別ガイドを活用したり、イラスト付きのカレンダーなどを用意して指定日を分かりやすく伝えたりすることで、理解を促進することができます。

転貸や無断での共同生活

多くの国では一時的な滞在者や訪問者に対して寛容な文化があり、同居に関する認識が日本と異なることがあります。また、経済的な理由から複数人での共同生活を選択するケースもあります。
具体的には、契約者以外の友人や家族を無断で同居させたり、部屋を第三者に転貸したりするといったトラブルが報告されています。

前述の調査によると、入居中に注意された経験のある外国人のうち、29.2%が「無断で共同生活をしていて注意された」と回答しています。

このようなトラブルを防ぐためには、契約時に同居人数の制限について明確に説明することが重要です。また、訪問者の宿泊に関するルールを設け、定期的な訪問で入居状況を確認することも効果的でしょう。入居者に対して、契約違反の場合の罰則についても説明しておくと良いでしょう。

共用部分の不適切な使用

多くの国では共用部分の使用に関するルールが日本ほど厳格でなく、私物を置くことが一般的な場合もあります。また、自国のアパートでの生活習慣をそのまま持ち込むことで、日本の集合住宅のルールに適応できていないケースがあります。
廊下やベランダに私物を置く、共用スペースを占有する、共用設備を独占的に使用するといった行為が、トラブルの原因となっています。
このようなトラブルを防ぐためには、共用部分の使用ルールを具体的に説明することが必要です。禁止事項をイラスト付きで示し、定期的に共用部分を確認して問題があれば早めに注意することが重要です。また、入居時に共用部分の使用について具体例を交えながら説明すると、より理解が深まります。

退去時に起こったトラブル

退去時のトラブルは、契約終了時の一度きりではありますが、金銭的な問題に発展するケースが多く、解決に時間がかかることがあります。事前の説明と理解が特に重要です。

原状回復の費用問題

多くの国では原状回復の概念自体がなく、借りた状態で返す義務がないケースも少なくありません。そのため、退去時に原状回復費用が発生することへの理解が不足しています。
原状回復費用を支払わない、高額な原状回復費用に納得できない、敷金が返還されないことに対する不満などが、退去時のトラブルとして報告されています。

日本賃貸住宅管理協会の調査によると、退去時のトラブルを経験した外国人のうち、55.6%が「高額な原状回復費用を請求された」ことを問題として挙げています。
このようなトラブルを防ぐためには、契約時に原状回復の概念と費用負担について明確に説明することが重要です。入居時に室内の状態を写真で記録し、入居者と共有しておくことで、退去時の比較がしやすくなります。また、退去時の費用の目安を具体的に示しておくことも効果的です。

退去時のルール無視

国によっては退去時の手続きが簡素であったり、事前通知の概念がなかったりする場合があります。また、言語の壁により退去の手続きを十分に理解できていないケースもあります。
事前通知なしに突然退去する、鍵を返却せずに退去する、私物を部屋に残したまま退去するといったトラブルが発生しています。同調査によると、退去時のトラブルを経験した外国人のうち、38.9%が「契約内容(退去時のルール)が理解できなかった」と回答しています。

このようなトラブルを防ぐためには、契約時に退去時の手続きについて詳細に説明することが重要です。退去の意向が示された時点で改めて手続きを説明し、退去時のチェックリストを母国語で提供すると良いでしょう。また、退去予定日の1ヶ月前に再度確認の連絡をしておくことも効果的です。

ライフライン(電気・ガス・水道)の解約忘れ

多くの国では、ライフラインの解約が自動的に行われたり、家賃に含まれていたりするケースがあります。日本特有の解約手続きを知らないために問題が発生します。

電気・ガス・水道の解約手続きをせずに退去する、公共料金の未払いを残したまま退去するといったトラブルが報告されています。前述の調査によると、退去時のトラブルを経験した外国人のうち、33.3%が「電気・ガス・水道の解約方法が分からなかった」と回答しています。

このようなトラブルを防ぐためには、契約時にライフラインの契約と解約の手続きについて説明することが重要です。退去の意向が示された時点で解約手続きの方法を具体的に案内し、必要に応じて解約手続きのサポートを行うことも効果的でしょう。また、解約手続きの流れを図解した案内を用意しておくと、より理解が深まります。

退去通知の期間不足

多くの国では退去の通知期間が日本よりも短かったり、特に定められていなかったりする場合があります。また、急な帰国や転勤などで十分な通知期間を確保できないケースもあります。
契約で定められた期間より短い通知で退去を申し出る、突然の退去により次の入居者の募集が間に合わないといったトラブルが発生しています。

このようなトラブルを防ぐためには、契約時に退去通知の期間について強調して説明することが重要です。定期的なコミュニケーションを通じて今後の予定を把握するよう努め、急な退去に備えて次の入居者募集の準備を整えておくことも効果的でしょう。また、契約書に退去通知の期間を太字や色付きで強調しておくことで、重要性を伝えることができます。

外国人入居者とのトラブルを防ぐための注意点

不動産経営1年目の確定申告

外国人入居者とのトラブルを未然に防ぐためには、入居前から適切な対応を心がけることが重要です。言語の壁や文化の違いを考慮した対応を行うことで、多くのトラブルを回避することができます。

初期費用の内訳をきちんと説明する

日本の賃貸住宅契約における初期費用(敷金・礼金・仲介手数料など)は、多くの外国人にとって理解しにくい概念です。日本賃貸住宅管理協会の調査によると、日本の賃貸住宅に入居する際に最も不満に思ったこととして、32.7%が「入居時の初期費用が高いこと」を挙げており、19.0%が「敷金・礼金・更新料等の母国の慣習には無い費用を支払う必要があること」を挙げています。
各費用の目的と金額を明確に説明することは非常に重要です。

可能であれば母国語や英語での説明資料を用意し、必要に応じて翻訳アプリや通訳を活用することも効果的です。また、支払いのタイミングについても明確に伝えることで、トラブルを未然に防ぐことができます。

初期費用の説明時には、特に敷金が退去時にどのような条件で返還されるのか、礼金が返還されない理由、仲介手数料の算出方法、更新料がいつ、いくら発生するのかといった点に注意して説明することが大切です。外国人の母国での慣習と大きく異なる部分であるため、十分な理解を得られるよう丁寧に説明する必要があります。

日本の文化や習慣を分かってもらう

日本特有の生活習慣やマナーを理解してもらうことで、多くのトラブルを未然に防ぐことができます。特に、騒音やゴミ出しなど、日常生活に関わるルールは事前に詳しく説明することが重要です。
夜間の静粛時間、ゴミの分別方法、共用部分の使用ルールなどについて、イラストや動画を用いて視覚的に説明することが効果的です。

また、入居者の出身国の文化や習慣について事前に理解しておくことも重要です。国によって生活習慣が大きく異なるため、どのような点で日本の習慣と違いがあるかを把握しておくことで、より効果的な説明ができます。
外国人入居者にとって、日本の文化や習慣は全く新しいものである可能性があります。一度の説明ですべてを理解することは難しいため、必要に応じて繰り返し説明したり、定期的に確認したりすることも大切です。

入居する際に再度ルールを確認する

契約時に説明したルールや注意点を、実際の入居時に再度確認することも重要です。契約から入居までの間に時間が経過している場合、説明内容を忘れてしまっていることもあります。
入居時には、実際の物件で具体的にルールを説明することが効果的です。

例えば、ゴミ置き場の場所や使用方法、共用設備の使い方、禁止事項などを実際に見せながら説明することで、理解が深まります。
入居時の説明は、できるだけ分かりやすい言葉で行うことが重要です。専門用語や複雑な表現は避け、必要に応じてイラストや写真、翻訳アプリなどを活用しましょう。

定期的なコミュニケーションを心がける

トラブルを未然に防ぐためには、入居後も定期的にコミュニケーションを取ることが重要です。特に入居初期は、生活に慣れていないため問題が発生しやすい時期です。

定期的な訪問や連絡を通じて、困っていることや分からないことがないか確認することで、小さな問題が大きなトラブルに発展する前に対応することができます。また、入居者との良好な関係を築くことで、問題が発生した際にも円滑に解決しやすくなります。

コミュニケーションを取る際には、外国人入居者が理解しやすい言葉で話すよう心がけることが大切です。必要に応じて、翻訳アプリや通訳を活用することも効果的です。また、文化的な背景を考慮した対応を心がけることで、誤解や摩擦を避けることができます。

日本賃貸住宅管理協会の資料によると、「何か異変があった場合、すぐに気づけるよう、日頃からコミュニケーションを取ることが大切」とされています。簡単なコミュニケーションを取るだけでも、良好な関係を築くことが期待できます。

マナー違反があった場合の対応方法を準備しておく

事前の説明や確認をしていても、マナー違反が発生する可能性はあります。そのような場合の対応方法をあらかじめ準備しておくことも重要です。

マナー違反があった場合は、まずは丁寧に説明し理解を求めることが基本です。言語の壁がある場合は、イラストや写真、翻訳アプリなどを活用して分かりやすく説明しましょう。

繰り返しマナー違反が発生する場合は、より具体的な対応が必要になることもあります。例えば、ゴミ出しのルールが守られない場合は、分別方法を写真で示したチラシを作成したり、ゴミ出しの日に直接立ち会って説明したりするなどの対応が考えられます。
重要なのは、一方的に注意するのではなく、なぜそのルールが必要なのかを理解してもらうことです。

外国人入居者を受け入れた場合のメリット

外国人入居者とのトラブル事例を紹介!原因や受け入れ時の注意点

外国人入居者を受け入れることにはさまざまなメリットがあります。トラブルの可能性を心配するだけでなく、これらのメリットも考慮に入れることで、より前向きな受け入れ姿勢を持つことができるでしょう。

空室率を下げやすくなる

日本の人口減少に伴い、賃貸住宅市場でも空室が増加傾向にある中、外国人入居者を受け入れることで入居対象を広げることができます。特に、留学生や技能実習生などは、特定の地域に集中して住む傾向があるため、そのような地域では安定した入居需要が見込めます。

日本賃貸住宅管理協会の調査データによると、日本に来る外国人の目的として、64.3%が「留学」、22.3%が「長期的な就労」、12.7%が「短期的な就労(5年程度以内)」となっています。これらの外国人は日本での滞在期間中、住居を必要としており、安定した入居者となる可能性が高いです。

また、多くの外国人は日本の賃貸住宅に対して良い印象を持っています。同調査によると、40.0%の外国人入居者が「母国で賃貸住宅を借りるよりも優れていると思うところがある」と回答しています。その理由として、「書面契約なので、契約内容が明確で安心できること」(41.7%)、「賃貸住宅の質が家賃に見合っていること」(37.5%)、「不動産会社社員の対応が親切であること」(36.7%)などが挙げられています。
このように、外国人入居者を受け入れることで空室リスクを軽減し、安定した家賃収入を確保できる可能性が高まります。

関連記事:賃貸経営での空室期間の平均。空室の間ですべきことや長引かせないためには。

紹介で入居者を見つけられる

外国人コミュニティ内での紹介は非常に活発です。一人の外国人入居者が満足して住んでいれば、友人や知人に紹介してくれる可能性が高く、新たな入居者獲得につながります。

日本賃貸住宅管理協会の調査によると、外国人が部屋を探す方法として「親族や友人の紹介」が15.7%を占めており、人的なつながりを重視する傾向があることがわかります。また、同じ国や地域出身の人々は互いに助け合う文化を持っていることが多く、住居情報も活発に共有されます。

また、紹介による入居者は、既に入居している人との信頼関係があるため、入居審査のリスクも低減できる可能性があります。紹介した入居者に迷惑をかけたくないという心理が働き、家賃の支払いやマナーの遵守に対する意識が高くなる傾向があります。

競合物件と差別化が図れる

外国人入居者を積極的に受け入れることで、競合物件との差別化を図ることができます。特に、周囲の賃貸物件が外国人を受け入れていない場合、外国人向けの物件として特化することで独自のポジションを確立できます。
近年、多言語対応の物件案内や入居サポートなど、外国人向けのサービスを提供する不動産会社も増えています。このようなサービスと連携することで、より多くの外国人入居者を獲得できる可能性があります。
日本賃貸住宅管理協会の調査によると、外国人が日本の賃貸住宅に入居する際に最も求めるサービスとして、36.7%が「多言語での部屋の契約時・入居中・退去時のサポート」を挙げています。このようなニーズに応えることで、競合物件との差別化を図ることができます。

長期的な入居が期待できる

外国人入居者の中には、留学生や技能実習生、外国企業の駐在員など、一定期間日本に滞在する予定の人も多くいます。このような入居者は、滞在期間中は安定して住み続ける傾向があり、頻繁な入退去による空室リスクや入替コストを抑えることができます。

日本賃貸住宅管理協会の調査によると、外国人入居者の来日目的として、64.3%が「留学」、22.3%が「長期的な就労」となっており、一定期間日本に滞在する予定の人が多いことがわかります。これらの入居者は滞在期間が明確であるため、計画的な物件運営が可能になります。

また、日本の生活に慣れた外国人入居者は、住み替えの手間や新たな環境への適応を避けるため、同じ物件に継続して住む傾向があります。特に、言語の壁がある場合は、既に関係を築いている大家や管理会社との関係を維持したいと考えることが多いです。

外国人入居者を受け入れることには、一定のリスクや課題もありますが、適切な対応と理解を深めることで、多くのメリットを享受することができます。国際化が進む日本社会において、外国人入居者の受け入れは今後ますます重要になってくるでしょう。

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