公開日:2025.01.22 / 最終更新日:2025.01.14 確定申告 確定申告不動産投資

家賃収入で確定申告は必要?初心者向けの手続き方法や注意点を詳しく解説

家の模型と確定申告書

家賃収入が年間で20万円以上ある場合は、確定申告をする必要があります。

また、家賃収入が年間で20万円以下の場合でも、確定申告することで損益通算により節税することが可能です。

家賃収入で確定申告が必要になるケースや具体的な手続きの流れ、節税するポイントをわかりやすく解説しています。

不動産投資初心者の方にも分かりやすく説明していますので、ぜひ最後までご覧ください。

家賃収入で確定申告が必要な場合とは?

家賃収入で確定申告は必要?初心者向けの手続き方法や注意点を詳しく解説

前提として、確定申告の有無を判断するには「所得」を計算する必要があります。

所得とは収入から経費を引いた額です。所得は国が定めた形態により10種類に区分されており、家賃収入によって発生する所得は「不動産所得」に該当します。

所得が一定額を超える場合は確定申告が必須です。言い換えれば、家賃収入があっても不動産所得が一定額を下回っていれば、確定申告の義務はありません。

しかし、家賃収入が発生しているのであれば、不動産所得の黒字・赤字に関係なく確定申告をしたほうが良いでしょう。

今回は家賃収入で確定申告が必要になるケースと、確定申告の義務がなくても確定申告をした方が良い理由について解説します。

家賃収入が年間20万円以上ある場合は必須

サラリーマンなどの給与所得者は、家賃収入による不動産所得が20万円を超える場合に確定申告が必須です。

給与所得者は原則として会社で年末調整が行われますが、給与所得以外の収入は年末調整に含まれません。

そのため会社で年末調整を受けていても、他に一定以上の所得がある場合は自身で確定申告を行う必要があります。

なお、給与所得者でない方でも、不動産所得を含めたすべての所得が48万円を超える場合に確定申告が必須となります。所得が48万円以下の場合、所得税の基礎控除や他の所得控除を適用した結果、課税所得が0円であれば確定申告は不要です。

家賃収入が年間20万円以下でも確定申告するのがおすすめ

家賃収入による不動産所得が20万円以下の場合、確定申告の義務はありません。

ただし、不動産所得が20万円以下の場合でも確定申告をするのがおすすめです。特に不動産所得が赤字の場合は確定申告を必ず行うべきといえるでしょう。

不動産所得の赤字は給与所得と損益通算が可能です。損益通算によって課税所得が少なくなるため、確定申告を行なえば所得税の還付を受けられます。

不動産所得など国が定めた所得の赤字のみ損益通算として認められるため、それ以外での損失は認められません。

また、不動産所得が20万円以下でも、以下のいずれかに該当する場合は確定申告が必要になります。

  • 2か所以上の会社で給与を受け取っている
  • 不動産所得単体では20万円以下でも、その他の所得との合計が20万円を超える
  • 年末調整で対応できない控除制度の適用を受けたい

確定申告の対象でありながら、申告を怠るとペナルティの対象になってしまいます。

判断ミスによるペナルティのリスクを避けるためにも、家賃収入がある場合は確定申告をしておくのが安心です。

関連記事:不動産投資1年目の確定申告。初年度ならではの注意点とは

家賃収入で確定申告をする際の税金の計算方法

家賃収入で確定申告は必要?初心者向けの手続き方法や注意点を詳しく解説

家賃収入で確定申告をする際の税金の計算方法を紹介します。

所得税

家賃収入にかかる所得税を計算する流れは以下の通りです。

  1. 家賃収入(不動産収入)から必要経費を差し引いて不動産所得を計算する
  2. 不動産所得以外の所得がある場合は、すべての所得を合計する
  3. 2で計算した所得から所得控除額を差し引いて課税所得金額を計算する
  4. 課税所得金額に所得税の税率を適用して計算する
  5. 4で計算した所得税額から税額控除を差し引いて、最終的な納税額を算出する

上記で使った単語の意味を紹介します。

  • 所得控除
    納税者の個人的な事情を加味して所得から一定の額を差し引く制度です。例として基礎控除や扶養控除などが挙げられます。
  • 税額控除
    課税所得に所得税の税率を乗じて算出した額から一定額を控除する制度です。配当控除や住宅借入金等特別控除などが該当します。

所得控除と税額控除は差し引くタイミングが異なる点にご注意ください。

また、適用される所得税率は課税される所得金額によって以下のように異なります。

課税所得金額 税率 控除額
195万円未満 5% 0円
195万円以上330万円未満 10% 97,500円
330万円以上695万円未満 20% 427,500円
695万円以上900万円未満 23% 636,000円
900万円以上1,800万円未満 33% 1,536,000円
1,800万円以上4,000万円未満 40% 2,796,000円
4,000万円以上 45% 4,796,000円

出典|国税庁「No.2260 所得税の税率

住民税

不動産所得には所得税だけでなく住民税も課されます。

住民税の計算方法は大まかに以下の通りです。

  1. 所得税の計算方法と同じ手順で、課税所得金額の計算まで行う
  2. 課税所得金額に標準税率を乗じて所得割額を計算する
  3. 2で計算した所得割額から税額控除を差し引いて、最終的な所得割の額を計算する
  4. 税額控除適用後の所得割額に均等割を加算して、住民税の合計額を計算する

主な用語の意味を紹介します。

  • 所得割
    前年の所得をもとに計算される課税要素
  • 標準税率
    地方自治体が課税する際に通常よるべき税率
  • 均等割
    住民税においては、市区町村から行政サービスを受ける費用を納税者全員で均等に負担すること

標準税率および均等割は基本的に一律で設定されていますが、自治体によっては通常とは異なることがあります。

正確な税率については、お住いの自治体に相談してご確認ください。

なお所得税の確定申告を行なった場合、その情報が税務署から自治体に送られるため、別途住民税を申告する必要はありません。

参照|総務省「地方税制度|個人住民税

家賃収入の経費として控除できるもの

前述したように、不動産所得は家賃収入(不動産収入)から必要経費を差し引いて計算します。

必要経費として控除できる支出の例は以下の通りです。

  • 不動産取得税
  • 固定資産税
  • 損害保険料
  • 減価償却費
  • 修繕費
  • 不動産購入のために契約したローンの利子
  • 管理会社に支払う業務委託料 など

家賃収入の経費として控除できないもの

不動産賃貸に関係する支出ではあるものの、家賃収入の経費として控除できない支出の例を紹介します。

  • 不動産購入のために契約したローンの元本
  • スーツ代やビジネスバッグなど
  • 反則金・罰金
  • 所得税や住民税など所得にかかる税金

これらを誤って必要経費に含めてしまうと、確定申告に記載する金額が誤ったものになってしまいます。

特に間違いやすいのが住宅ローンの元本です。利子は必要経費に含まれますが、ローンの元本(実際に借り入れたお金)は含まれないので、計上する際に注意してください。

家賃収入を確定申告するやり方や流れ

家賃収入で確定申告は必要?初心者向けの手続き方法や注意点を詳しく解説

ここでは、家賃収入を確定申告をするやり方や流れを解説します。

確定申告方法を青色か白色か決める

まずは、確定申告方法を青色と白色どちらにするか決める必要があります。

それぞれの特徴は以下の通りです。

  青色申告 白色申告
メリット 青色申告特別控除を受けられる(要件を満たすと最大65万円)
最長3年間の繰越損失が可能
家族への給与を経費として計上できる
単式簿記による記帳が認められている
デメリット 期日までに「青色申告承認申請書」の提出が必要
複式簿記による記帳が原則
確定申告時に「青色申告決算書」の提出が必要
優遇税制が一切適用されない

青色申告は、適切な帳簿作成や申告書の作成に手間がかかるものの、優遇措置の適用により税額を大幅に抑える効果が期待できます。

繰越損失は赤字を翌年から3年間も繰り越せるので、初めて不動産投資を行う方が1年目で大赤字となってしまった場合でも安心です。

税額をできるだけ抑えたい方であれば青色申告、手早く確定申告を終わらせたい方は白色申告が良いでしょう。

確定申告の必要書類を揃える

続いて、確定申告の必要書類を揃えていきましょう。

家賃収入の確定申告で必要となる書類の例を紹介します。

  • 確定申告書
  • 家賃収入など収入額がわかる資料
  • 賃借人の氏名や月の家賃などがわかる資料
  • 請求書や領収書など必要経費がわかる資料
  • 【青色申告の場合】青色申告決算書(不動産所得用)
  • 【白色申告の場合】収支内訳書(不動産所得用)

このほかにも、所得控除を適用する場合は控除証明書が必要になるなど、納税者の状況によって必要書類が異なります。

書類が揃わないと確定申告ができないため、できるだけ早めに必要書類の用意をしましょう。

確定申告書を作成して提出する

必要書類がそろったら確定申告書を作成し、期日までに居住地を管轄する税務署へ提出してください。

確定申告書の提出方法は3種類あるため、それぞれのメリット・デメリットを紹介します。

  メリット デメリット
税務署の窓口に提出 窓口で必要書類がそろっているか確認してもらえる
  • 税務署まで行く必要がある
  • 確定申告期間中は混雑しているため時間がかかる可能性がある
税務署に郵送で提出
  • 税務署に行く必要がない
  • 確定申告期間内の消印が押されていれば、届くのが期日後でも有効とされる
  • 郵送料がかかる
  • 窓口で必要書類を確認してはもらえない
e-Tax(電子申告)で提出
  • 自宅で手続きが完結する
  • 多くの添付書類を省略できる
  • 還付申告の場合、還付を受けるまでの時間が他の方法よりも早くなる
  • 窓口で必要書類を確認してはもらえない
  • e-Taxをはじめて利用する場合は事前準備が必要

上記で紹介したメリットとデメリットを踏まえて、自分に合った方法で確定申告を行いましょう。

家賃収入で確定申告をしないとどうなる?

 

不動産経営1年目の確定申告

家賃収入による確定申告が必要なのに申告を怠ると、以下のようなペナルティが発生します。

  • 延滞税
    税金が期日までに納付されなかった場合に発生し、本来納めるべき税に加算されます
  • 無申告加算税
    期日までに確定申告書を提出しなかった場合に課されるペナルティです

なお、無申告が悪質なもの(脱税・ほ税など)と判断されると、より税率の高い重加算税の対象となります。

「確定申告が必要ないと思っていた」「確定申告について知らなかった」と言っても課税からは逃れられないでしょう。

家賃収入がある場合は原則として確定申告が必要と考えておき、期日までに書類を提出できるよう準備をしておいてください。

参照|国税庁「No.2024 確定申告を忘れたとき

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