空室対策のアイデアとは?アパート経営でリスクを減らす方法を解説
近年、アパートなどの賃貸経営を始める人が増えています。
賃貸経営では、基本的に入居者からもらう家賃が収入です。
そのため、空室ができると収入が減り、場合によっては自身の生活にまで直接影響がでてしまいます。
空室にしないための対策や経営を安定させるためのポイントを確認してみましょう。
賃貸経営での空室事情
賃貸経営を始めるために、ローンを組んで物件を取得し、いざ入居者を募集してみたものの、思うように契約が進まず、空室に悩まされるオーナーが後を立ちません。
空室ができることでどのような影響があるのでしょうか。 また、なぜこのような事態が起きるのでしょうか。
賃貸経営の収入について
アパートなどの賃貸経営では、オーナーは物件を取得した後、建物の維持や管理をしながら家賃収入を得ます。取得時と維持や管理には、当然ながら経費が発生します。
家賃収入がローン支払いや維持費を下回れば、赤字です。
賃貸経営には、具体的にどのような経費がかかるのでしょうか。
取得時の経費
物件の取得時には、物件の本体価格(土地+建物)とは別に、下記のような経費がかかります。
税金 |
印紙税 |
不動産取得税 | |
登録免許税(登記費用) | |
保険・手数料等 |
仲介手数料 |
ローン手数料(事務手数料+保証料) | |
火災保険料 | |
外注費(司法書士・税理士・弁護士など) |
これらの経費は、おおよそ物件価格の約7~10%かかると考えておいた方がよいでしょう。
維持や管理の経費
維持費や管理費には、毎月かかる費用と、入居者の募集や退去のタイミングで随時かかる費用があります。
毎月かかる費用 | 光熱費 |
損害保険料 | |
賃貸管理委託料 | |
ローンの返済 | |
随時かかる費用 | 入居者募集の広告費 |
入居中の故障などの修繕費用 | |
退去後のリフォーム費用 | |
仲介手数料 |
このように、賃貸経営には取得時と維持と管理の両方で経費がかかります。
そのため、満室時の表面利回りが高かったとしても、空室が増えると経費が収入を上回り、赤字経営になってしまうこともあります。
賃貸経営において、空室を防ぐことがなによりも重要です。
空室率
株式会社タスの提供する「賃貸住宅市場レポート」(2021年10月)によると、首都圏1都3県の賃貸住宅の空室率は、この2年徐々に増加傾向にあります。
特に、アパート(木造・軽量鉄骨造)の空室率の上昇傾向が顕著になってきています。関西圏・中京圏でも、直近1年でアパートの空室率の上昇傾向があります。
これは、新型コロナウイルスの感染拡大による、下記のような影響が要因と考えられています。
-
- 大学がオンライン授業になり、学生の退去が増えた
- 企業の配属に都市部を避ける動きがあった
- 在宅勤務の増加により、ワークスペースのニーズが顕在化し、都市部のワンルームタイプから郊外のファミリータイプ (2DKなど)に転居する人が増えた
- 外国人の入国が制限され、外国人労働者が減少した
感染の収束により徐々に制限が緩和されれば、これらの影響は小さくなることが見込まれます。
しかし、都市部の単身者向け住宅は、以前から供給過剰が指摘されていました。
不動産投資ブームや低金利政策の後押しもあり、東京23区では2020年度も約4.2万戸が新規供給されています。
そのため、単身者向け賃貸住宅については、今後も供給過剰の状態が続く可能性があります。
空室の原因
このように、都市部のアパートは供給過剰が続いていることから、新型コロナウイルスの影響が落ち着いた後も、どれだけ回復するかは未知数です。
特に木造・軽量鉄骨造のアパートについては、一定の空室率が今後も続く可能性が高いと言えるでしょう。
しかし、そうした厳しい環境下においても、オーナーの工夫によって高い入居率を維持しているアパートもあります。
なかなか空室が埋まらないアパートは、「第一印象が良くない」「入居希望者とニーズが合致していない」などの原因があります。
空室対策を万全にして、他のアパートと差別化する必要があります。
効果的な空室対策
アパートの空室を防ぐには、具体的にどのような対策をすればよいのでしょうか。
不動産は立地条件や広さを変えられません。
そのため、オーナーができる対策は大きく分けて以下の3つです。
-
- 内見者の第一印象を良くする
- 物件の状態を良くする
- 条件の変更
ここでは、この3つの点に着目した空室対策をいくつか紹介します。
空室対策には費用がかかると思われがちですが、中には大きな費用をかけずにできる対策もあります。ぜひチェックしてみてください。
対策①マイソク(物件チラシ)の情報を充実させる
マイソクとは、不動産会社の店頭などに掲示されている、入居者募集のための紙面のことで、地域によって物件チラシと言われるケースもあります。所在地や賃料、間取りなどの物件情報が掲載されています。
不動産会社を訪れる人だけでなく、不動産会社の担当者もマイソクの情報を元に顧客に物件を紹介しています。
そのため、ここに掲載されている情報を充実させることで、アパートを探している人に情報が届きやすくなります。
具体的には、買い物施設や教育機関までの距離や室内写真、近隣の街並みの写真を掲載するといった工夫がなされているか、客付けを依頼している不動産会社のマイソクを確認するようにしましょう。
対策②内見準備を徹底する
空室対策として見逃されがちなのが、内見の準備の徹底です。
大きな費用はかからないため、ぜひ取り入れましょう。
内見時に物件の第一印象を良くするために、下記のような対策が効果的です。
-
- ポストを封鎖する(チラシの投函防止して悪印象を避ける)
- 内見前にしっかりと換気をする
- 照明をすべてつける
- ちょっとした観葉植物を設置する
- 冷房・暖房をつける
- スリッパを用意する
- 近隣の買い物施設や教育施設の案内地図を作る
対策③ホームステージング
ホームステージングとは、部屋に家具などインテリアを配置して、モデルルームのように演出することです。
室内の第一印象が格段に良くなるため、欧米では売買・賃貸ともに広く取り入れられています。
ホームステージングサービスを提供する専門業者もありますし、大手家具店でもホームステージングサービスを始めている企業もあります。
効果的なホームステージングには、以下のようなものがあります。
-
- 間接照明など、デザインが優れた照明器具を設置する
- ソファやラグを設置する(ファミリータイプの場合)
- ダイニングセットを設置する(ファミリータイプの場合)
- アートや観葉植物、小物などを設置する
対策④物件に付加価値をつける
インターネットを無料にしたり、便利な設備を導入することは直接的なアピールになります。
大きな費用がかからないものもあるため、お部屋のリフォームなど家賃の減額など利回りに影響する対策を検討する前に取り入れたい内容です。
-
- Wi-Fiを設置する
- 宅配ボックスを設置する
- 家具・家電付きにする
- スマートロックやモニター付きインターンの取り付け(セキュリティの向上)
- 近隣に駐車場を確保する
対策⑤リフォームやリノベーション
リフォームやリノベーションでお部屋をリニューアルすることで、築年数の古い物件でも成約率は向上します。
費用がかかるものもありますが、下記で紹介するような低予算でできるプチリフォームもあります。
-
- 3点ユニットをセパレートにする
- クロスの貼り替え(一面だけアクセントクロスを取り入れる)
- フロアタイルに張り替える
- キッチンの面材をダイノックシートを貼る
- 玄関の壁などにウォールラックを取り付ける
対策⑥入居審査を緩和する
賃貸住宅では、入居後のトラブルを避けるために入居審査を厳しくしているケースが多くあります。
しかし、空室のままでは赤字経営となってしまうため、属性だけで避けるのは得策ではありません。
一定の属性で制限するだけではなく、面接などをして本人確認を徹底しましょう。
ルールなどを周知してトラブルを回避していくことも可能です。
入居率を上げるためには、以下のような審査基準の緩和が効果的です。
-
- 高齢者を受け入れる
- 外国籍の方を受け入れる
- 生活保護の方を受け入れる
- ルームシェアを受け入れる
- ペット可にする
対策⑦入居者の費用負担を減らす
入居者の費用負担を減らすことは、空室対策の最終手段とも言えますが、最も効果的な対策です。
入居者の費用負担軽減の方法としては、以下のようなものがあります。
-
- 敷金・礼金を値下げまたは廃止する
- 1~2カ月のフリーレント(家賃無料)期間を設ける
- 家賃を減額する
空室対策以外で経営を安定させるポイント
紹介した空室対策以外にも、賃貸経営を安定させるために有効な対策はあります。
いずれも、賃貸経営をスタートする段階で検討しましょう。
管理会社選び
賃貸経営の管理業務はオーナーが直接行うことも可能ですが、管理会社に委託するのが一般的です。
管理会社の業務内容には、以下のようなものがあります。
-
- 入居者の募集や契約締結
- 契約更新やクレーム対応
- 退去後の原状回復
- 建物全体の修繕
地域や市況によってどのような空室対策を講じるべきかというアドバイスも、管理会社が行います。
そのため、費用対効果に優れ、安定した賃貸経営を目指すには、管理会社の存在は欠かせません。
企業規模や知名度だけでなく、営業担当者がオーナーのニーズをしっかりと汲んでくれるかどうかなど、相性も重要です。
目的を明確にして、複数の管理会社を比較しましょう。
サブリースを利用する
安定した賃貸経営手段のひとつとして、サブリースがあります。
サブリースとは、オーナーからサブリース業者が、一定期間一括で物件を借り上げる契約のことです。借り上げた物件は業者が入居者に貸し出します。
保証される家賃はサブリース手数料が差し引かれるため、相場よりも安くなってしまいます。しかし、入居者の有無に関わらず保証賃料が得られるため、空室リスク・滞納リスクを考える必要がありません。
そのため、リスクの低い賃貸経営を重視する方にはおすすめの方法です。
そのほか、面倒な管理業務をプロに委託できる、経費の計上がないため確定申告が簡素化できるといったメリットもあります。
しかし、以下のようなデメリットやリスクもあります。
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- 家賃を最大化できない
- 入居者を選ぶことができない
- サブリース会社が倒産してしまうリスク
- 想定した保証賃料が得られない
サブリース契約は数年おきに保証賃料の見直しが行われることが一般的です。そのため、当初想定した保証賃料よりも下がってしまうリスクがあることをよく知っておきましょう。
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