アパート取り壊しの費用相場と内訳!解体前に確認するポイントは?

経営していたアパートを、老朽化などの原因で取り壊さなければならないとき、どれくらいの費用がかかるのでしょうか。
もちろん正確な金額は業者に見積もりを依頼する必要がありますが、だいたいの相場感は知っておきたいものです。
本記事ではアパート取り壊しの費用相場とその内訳を具体的に紹介します。また、解体前に確認しておくとお得なポイントも説明します。
アパート取り壊しの費用相場
ここでは、アパート取り壊しの費用相場と内訳を紹介します。建物の構造などによって費用が変わるため、自分が所有するアパートと比べながら確認してみましょう。
基本的な費用は「構造」と「延床面積」で決まる
取り壊しの費用は大まかにいうと、以下の2つから決まります。
- 構造
- 延床面積
延床面積は、建物の各階の床面積を合計したものです。つまり10坪の面積の2階建てで1階と2階が同じ面積だとすると、延床面積は20坪です。
建物の構造別の坪単価は、次の表が目安です。
建物の構造 | 坪単価の目安(万円) |
---|---|
木造 | 4~6 |
鉄骨造 | 7~8 |
鉄筋コンクリート造(RC造) | 8~9 |
延床面積が20坪の木造アパートの場合、取り壊し費用の目安は以下のように計算できます。
取り壊し費用の目安=4万~6万円 × 延床面積20坪=80万~120万円
費用の内訳
取り壊しにかかる費用の内訳を見てみましょう。
項目 | 説明 |
---|---|
仮設工事費 | 解体工事を行う前の以下のような準備にかかる費用です。
|
解体工事費 | 取り壊しそのものにかかる費用です。作業員の人件費や機材の費用が含まれます。なお、屋根や建物、室内などはそれぞれ取り壊しに必要な作業内容や工程が異なるため、分けて費用を見積ります。 |
整地費用 | 取り壊しが終わったあとに、アパートが建っていた敷地を整える費用です。大がかりな重機が必要なため、そのための費用がかかります。 |
廃棄物処分費 | アパートを取り壊して出たさまざまな廃材は、材質に応じて処分の仕方が法律で定められています。そうした廃棄物を適切な方法で処分するための費用が必要です。 |
付帯工事費 | 建物の解体以外に工事が必要な場合にかかる費用です。たとえばブロック塀や外階段、樹木の撤去費用などです。 |
【補足】取り壊し以外にかかる費用
アパートを取り壊すと、工事そのものにかかる費用とは別に付帯して必要な費用があります。
たとえば、以下のような手続きや申請が必要です。
- 解体工事届出(建築リサイクル法に関する届出)
- 道路使用許可申請
- 建物滅失登記(取り壊し後)
こうした手続きには、司法書士など専門家に依頼しなければならないものもあり、費用がかかります。
また、工事の実施にあたって保険に加入するため、その保険料がかかります。工事車両の駐車場代や近隣住民へのあいさつの費用なども必要でしょう。
アパートに入居者がいる状態で取り壊しを行う場合は、立ち退き料もかかります。
費用を左右する要因
取り壊しにかかる費用は基本的に構造と延床面積で決まりますが、実際はそのほかさまざまな要素が絡み合って費用を左右します。
立地
アパートの立地条件は非常に重要です。以下のような場合は解体工事の難易度が上がるため、費用が高くなる傾向にあります。
- 隣接する建物との間に十分に距離がなく、敷地に余裕がない
- 前面道路が狭い
特に前面道路の幅は影響が大きいです。取り壊しのために重機の出入りが必要ですし、廃棄物の搬出のために大型トラックを敷地前に横付けしなくてはなりません。
前面道路が狭くて重機や大型車両が入れない場合、解体や運搬を手作業で行います。工期が余分に必要になり、人件費が跳ね上がってしまいます。
地域
実は取り壊し費用の相場には地域差があります。
地方に比べると首都圏のほうが高くなる傾向にあり、同じ地域でも、都市部や繁華街に近いほうが高くなりやすいです。
理由としては、都市部のほうが建物が密集しやすく、前述したような立地条件が悪いからです。また、単純に人件費が高い傾向にあるのも原因です。
撤去物や残置物の有無
空っぽの建物だけを取り壊す場合と、建物内に家具などが置いたままになっている場合とでは、前者のほうが安く済みます。
アパート内に搬出・廃棄が必要なもの(残置物)があれば、その運搬費や処分費用がかかり、それだけ出費がかさんでしまいます。
また、以下のような撤去に特別な処置が必要なものがあれば、その撤去費がプラスされます。
- ブロック塀
- 外階段
- 門扉
- 駐車場
- 倉庫
- 貯水槽
- 樹木
- 砂利
アスベストの有無
建材にアスベスト(石綿)が含まれていると、取り壊し費用は高くなります。
かつて断熱材として広く利用されていたアスベストは、現在では発がん性物質を含むなどの問題から使用が禁止されています。
アスベストを含む建物を取り壊すときは、アスベストが飛散したり、作業員の健康を害することがないように特別な処置が必要です。そのため通常よりも費用がかかってしまいます。
アスベストが法律で使用の制限を受け始めたのは1975年からです。そのためそれ以前に建築された建物は高確率で使用されていると思われるため、注意が必要です。場合によってはアスベスト処分のために、通常の倍の費用がかかることもあるようです。
アパート取り壊し前に確認するポイント
アパート取り壊しにかかる費用を抑える方法はあるのでしょうか。ここでは取り壊し前に確認しておくべきポイントを紹介します。
公的な補助金などを活用する
地方公共団体(自治体)によっては、アパートの取り壊しや立て替え費用の一部に補助金を出す制度があることがあります。老朽化した建物が放置されると地域の安全性や美観の面で問題があるので、適切に取り壊しが行われるのは地方公共団体にとっても歓迎だからです。
補助金が利用できるかどうかは、制度ごとに要件があるのでまずは役所に問い合わせてみましょう。
固定資産税の課税時期に気を配る
固定資産税は、1月1日時点の状態に基づいて1年間の課税額が決まります。
また土地にかかる固定資産税は、上に建物が建っているかどうかに大きく左右されます。建物が建っている土地の固定資産税を軽減する仕組みがあるため、建物が建っていない更地はそうでない土地よりも固定資産税額が高いです。
つまり、1月1日時点で建物が建っているかどうかが重要なポイントです。
土地に課される固定資産税を抑えるには、事情が許す範囲で取り壊し時期に気を配り、1月1日時点で建物が建っているようにしましょう。
自分で処分できるものは処分する
残置物があると取り壊しの費用が多くかかることはお伝えしたとおりです。
そのため可能なものは自分で処分しておきましょう。解体業者に物の処分も依頼すると廃棄費用がかかってしまいます。自分でリサイクル業者を利用し、リサイクル品として買い取ってもらいましょう。
火災保険が利用できるか確認する
アパートが自然災害によって損傷を受けたことが理由で取り壊しが必要になっている場合は、火災保険が利用できる可能性があります。
水災や風災、雪災、水濡れ、飛来物など損傷の原因と、契約している保険の補償範囲によって利用できるかどうかは異なりますが、可能であれば使わない手はありません。
なお、経年劣化による雨漏りなどは対象になりません。どのような場合に使えるかは、契約内容を見直しておきましょう。
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