2022.02.15 賃貸管理 夜逃げ

夜逃げした入居者の残置物は処分してもよい?費用負担や手続きの必要性

残置物を片づける様子

賃貸物件を運営する管理人にとって入居者の夜逃げは、残置物処分などが必要になり、非常に悩ましい問題です。

残置物については、だれが処分すべきで、だれが費用を支払う必要があるのでしょうか。

本記事では、夜逃げした入居者の残置物について、処分方法や費用負担について解説します。賃貸物件を運営されている方やこれから始めようと検討している方のご参考になれば幸いです。

夜逃げした人の残置物は?

夜逃げの理由は、経済的困窮や勤務先の倒産、ストーカーなどによる人間関係のトラブルなどさまざまです。

入居者が夜逃げした場合の残置物はどのように取り扱うのが正解なのでしょうか。

残置物とは、不動産業界で使用される単語で、賃貸物件の退去時に残っている入居者の私物を指します。

一般的には、残置物の所有者が最終的に処分しますが、夜逃げのようなケースでは家財道具などを、そのまま家に残して出ていくことが多いです。そのため、残置物を何らかの手段で処分する必要があります。

勝手に処分してはいけない

賃貸物件を運営する管理人にとって、残置物は邪魔なものでしかなく、一刻も早く撤去して次の入居者を見つけたいところです。

しかし、日本の法律上は入居者が夜逃げしたとはいえ、残置物の所有権がいきなり管理人に移るということはありません。そのため、残置物を管理人が勝手に処分することはできません。

賃貸契約が終了した場合でも同様で、勝手に残置物を処分した場合、民法上の所有権侵害に該当するおそれがあります。従って、残置物を処分する際には、所有者に対してしっかりと了承を得る必要があります。

処分方法

残置物の処分方法には、以下3つのパターンがあります。

    • 保証人に依頼する
    • 管理人自身で片づける
    • 業者に依頼する

夜逃げした入居者に保証人がいる場合、保証人に対して事情を説明し、すべての処分を任せましょう。

保証人と連絡がつかない、保証人や親族がいない場合は、管理人自身が片づける必要があります。

前述のとおり、残置物の所有権は夜逃げした入居者にあるため、管理人が勝手に処分することはできません。しかし、夜逃げした入居者に連絡をしても応答しない場合がほとんどです。

その場合、住居の明渡し訴訟を起こすことになります。住居の明け渡し訴訟を行うことによって、入居者の荷物を合法的に処分することが可能です。

残置物の処分をする際、家具家電に関してはリサイクル対象となるものもあるため注意が必要です。

また、残置物の片付けを専門業者に依頼する方法もあります。専門業者では、残置物を回収するだけでなく、掃除や買取も行っている場合があります。

    • 残置物が大量にある
    • 処分する時間がとれない
    • 処分方法が分からない

上記のような場合、専門業者へ依頼することも有効な選択肢のひとつです。

費用負担や手続きは?

残置物の処分に伴う費用は、1㎥あたり約5,000〜1万5,000円、戸建住宅の場合では約15万〜30万円が相場です。

費用負担については、通常、残置物の所有者自身か保証人、親族が支払います。残置物の所有者は夜逃げした入居者であり、処分費用についても当然に支払い義務があります。

しかし、夜逃げの場合では連絡がつくことは稀であるため、所有者に支払ってもらうことは困難でしょう。この場合、所有者に代わって保証人や親族に対して処分費用を請求します。

トラブルを防ぐためにも、保証人や親族とは事前にしっかりと話し合う必要があるでしょう。

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残置物以外の問題の対処

夜逃げをされた場合、残置物以外にもさまざまな問題に対処する必要があります。対処することには、金銭的な損失を伴うものが多く、オーナーにとっては大きな負担です。

アパート経営を始める際には、どのような被害があるのか把握し、夜逃げされた場合の対応を考えておくようにしましょう。

賃貸借契約の解除

入居者が夜逃げし家賃の滞納も続いている場合、賃貸借契約の解除と物件の明け渡しを請求する必要があります。

入居者本人との連絡が取れない場合、保証人や親族に連絡し、合意解除を目指して手続きを進めます。

この際、保証人が素直に応じてくれるとスムーズに手続きが進みますが、滞納家賃がある場合は簡単には進みません。保証人や親族に対して経緯をしっかりと説明し、納得してもらうことが大切です。

原状回復費用

原状回復費用については、管理人が負担するケースが大半です。クリーニング可能な汚れやクロスの張り替えなどに対応する必要があります。

原状回復費用は50万〜200万円と、汚損の度合いによって異なります。

夜逃げのあった部屋は、ゴミ屋敷のように通常とは違う散乱の仕方をしているケースも多いです。家賃滞納が発生した時点で、夜逃げを防ぐ体制を早期に取ることが重要です。

家賃の回収

夜逃げをする入居者の大半は、複数回にわたって家賃を滞納しています。入居者が夜逃げした場合、まずは入居者自身や勤務先に対して連絡を取ります。

連絡がつかず居場所が分からない場合、滞納された家賃の回収は困難です。この場合、本人からの回収は諦め、連帯保証人からの回収を試みます。

連帯保証人との交渉では、滞納家賃の支払いについて承諾してもらえないこともあります。そのような場合、裁判所への訴訟手続きに移行して、支払ってもらいます。

また、連帯保証人を設定していない場合は、家賃保証会社に連絡して滞納家賃の保証を受けます。

法的措置

夜逃げした入居者が支払うべき金額が総額30万円未満の場合、少額訴訟という方法を用いて簡易裁判所へ申し立てが可能です。裁判に比べて費用を抑えることができ、審理も1回で済みます。

入居者が支払うべき金額が30万円以上の場合、通常訴訟を起こすことになります。

裁判による滞納額の回収には、多くの時間と労力が必要です。また、弁護士などの専門家にサポートを依頼すると、さらに高額の費用がかかります。

法的措置を検討する場合、コストや労力と回収できる金額が釣り合うかどうかを事前に把握しておきましょう。

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夜逃げの予防

入居者に夜逃げをされてしまうと、オーナーは大きな損害を被ります。夜逃げの被害を受けないよう、日頃から事前対策をすることが大切です。

また、既に夜逃げが発生してしまった場合でも、今後どのような対策を取ればよいのかを検討しましょう。

ここでは、夜逃げの予防方法をいくつか紹介します。

日頃のコミュニケーション

入居者と日頃からコミュニケーションをとることは、夜逃げを防止するために非常に重要です。

入居者にとって、オーナーと日常的に顔を合わせていれば、夜逃げはしにくくなります。

また、日頃からコミュニケーションをとることで、たとえば入居者が最近退職したことや人間関係でトラブルがあることなど、家賃滞納や夜逃げの前兆をキャッチして早期に対策ができます。

入居者の見極め

入居の段階において、収入や職業が安定しているか見極めましょう。

入居審査を厳しくすることで、家賃滞納や夜逃げを防ぐことができます。しかし、過度に厳しくしてしまうと入居者を集めること自体が難しいため、バランスが重要です。

ただ、空室と家賃滞納を比較した場合、家賃滞納の方がはるかに大きな損害が発生することは認識しておきましょう。

勤務先や実家などの連絡先を入手

賃貸契約時には、勤務先や実家などの連絡先を必ず入手しましょう。

連絡先を把握することで夜逃げの防止につながります。さらに、いざ夜逃げされてしまったとしても、勤務先や実家に対して連絡を取ることが可能です。

家賃滞納時には早期対応を

家賃滞納時には早めの対応を取ることが重要です。

家賃滞納者の中には、「この日までには支払う」などと言い、何カ月も滞納を続ける人も多いです。このような場合、早い段階で強制退去させてしまうことも選択肢のひとつです。

家賃を滞納されたまま退去されることに納得がいかないかもしれませんが、総合的には損害額を小さく抑えることができる可能性があります。バランス感覚が求められる難しい判断ですが、時として厳しい判断を下すことも重要です。

SNSなどの連絡先も入手する

若年層の人では、電話やメールはほとんど使用せず、連絡方法はすべてSNSで行うという人も少なくありません。

そのため、入居時に電話番号やメールアドレスだけではなく、SNSの連絡先を入手することも有効です。


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