2023.04.12 賃貸管理 消費税税金

大家に必要なインボイス制度への対応|どんな影響がある?節税は可能?

INVOICEの文字が書かれた積み木

2023年10月1日からインボイス制度がはじまります。消費税の納税にかかわる制度で、事業者向けの賃貸経営をしている大家に大きな影響があります。インボイス制度とはどういうものなのか、どういった対応が必要なのかを解説します。

特に、消費税が利益になっている非課税の大家への影響が大きいため、いまのうちにしっかりと制度の内容を把握しておきましょう。

インボイス制度ってなに?大家への影響は?

インボイス制度は2023年10月1日から導入される消費税に関する制度で、賃貸経営に大きく影響します。

インボイス制度がはじまると、主に貸事務所や貸店舗、テナントビル、月額駐車場など、事業用の不動産による収入が1,000万円を超える場合は、消費税の課税対象となる賃貸物件を貸している不動産オーナーは「適格請求書登録事業者」の申請が必要です。

消費税の課税業者であれば適格請求書登録事業者に登録するだけでよいのですが、1,000万円未満の消費税の免税事業者の大家は、適格請求書登録事業者の申請をするために課税業者になる必要があります。

ちなみに、アパートやマンションなど居住用の賃貸物件はもともと非課税のため、居住用物件だけを賃貸している大家は、インボイス制度の導入によって受ける影響はありません。

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大家のための「インボイス制度」解説

インボイス制度とは、どのような制度なのでしょうか。導入された背景と合わせて、インボイス制度について解説します。

インボイス制度とは

インボイス制度とは「適格請求書(インボイス)」を保存することで、仕入税額控除を受けられる制度です。仕入税額控除とは消費税を納税する際に、仕入れのときに払った消費税分を差し引くことをいいます。

これまでは適格請求書がなくても仕入税額控除を受けられましたが、インボイス制度の導入後は適格請求書が保存されていない場合、仕入税額控除を受けられなくなります。

つまり、大家が適格請求書発行事業者に登録し、発行する請求書に必須事項を記載しなければ、入居テナントである借主は仕入税額控除を受けられません。

「適格請求書発行事業者」に登録する必要がある

借主が仕入税額控除を受けるには、大家が適格請求書発行事業者になる必要があります。これまでは「売り上げた分の消費税額-仕入れ分の消費税額」で仕入税額控除を受けられましたが、2023年10月1日のインボイス制度開始以降は、大家が適格請求書を発行し、借主が適格請求書を保存しておかなければ、仕入税額控除を受けられなくなります。

免税事業者は「適格請求書発行事業者」になれない

適格請求書発行事業者の申請には、課税業者であることが必須条件です。免税事業者は適格請求書発行事業者の登録ができないため、課税業者として登録後、適格請求書発行事業者の申請を行いましょう。

課税業者になると、消費税の納税が必要になります。免税事業者は受け取った消費税を納税していなかったため、それだけ家賃収入が減ってしまうデメリットがあります。

免税事業者のままだと借主が退去するおそれも

大家が適格請求書を発行できない場合、借主は仕入税額控除を受けられないため、いま借りている事務所を退去するおそれがあります。

免税事業者の大家は、契約を継続するため課税業者になって適格請求書発行事業者の登録をするか、これまでどおり免税事業者のままでいるかを決めなければなりません。課税業者になると消費税の納税が必要ですが、長い目で見ると退去されてしまうよりはよい選択になるかもしれません。

関連記事:賃貸経営での空室期間の平均。空室の間ですべきことや長引かせないためには。

インボイス制度が導入された背景

インボイス制度を導入する目的は、いままで見逃してきた益税(免税事業者が受け取った消費税を納めず利益にすること)をなくし、課税業者と免税事業者の間で生じていた不平等をなくすことです。

ほかにも、請求書の管理をWebで行うことでペーパーレス化を目指したり、8%と10%が混在する消費税の内訳をわかりやすくしたりするなどの理由もあります。しかしインボイス制度の最大の目的は、益税による不平等をなくしていくことです。

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インボイス制度による大家への影響

インボイス制度が導入されると、大家はどのような影響を受けるのでしょうか。大家が受ける影響と、今後必要とされる対応を解説します。

インボイス制度の影響を受ける大家

貸店舗・貸事務所などの事業用物件や月極駐車場は、消費税の課税対象のため、こういった物件の賃貸をしている大家はインボイス制度の影響を受けることになります。

現時点で課税業者の大家は適格請求書発行事業者の申請をし、適格請求書を作成するなどの手続きをすれば問題ありません。もっとも大きな影響を受けるのは、年間売上1,000万円以下の免税事業者の大家です。

繰り返しになりますが、非課税のアパートやマンションなど居住用物件だけを扱っている大家は、インボイス制度の影響を受けません。

インボイス制度による悪影響

現在、貸店舗を月々11万円(内、消費税1万円)で借りている企業は、消費税分の1万円を経費として計上できています。しかし、インボイス制度の導入以降は、大家が発行する請求書が「適格請求書」に該当しない場合、消費税分の1万円を経費として計上できなくなります。

そのため、大家が適格請求書発行事業者の登録をしていない場合、借主が物件の契約自体を避けてしまったり、消費税分の値下げを求められたりするだけでなく、退去されるおそれがあります。

また、大家は消費税額の計算や支出管理を行ったり、適格請求書への書式変更を行ったり、事務的な作業負担が増えることになります。

どのような対応が必要になる?

インボイス制度の導入により、大家は次の対応が必要になります。

課税業者の大家

  • 適格請求書課税事業者の登録をする
  • 請求書の書式を適格請求書対応の書式に変更する

課税業者の大家の場合、これまでの請求書を適格請求書対応の書式に変更する必要があります。

免税事業者の大家

  • 適格請求書発行事業者に登録するかどうかを決める
  • 登録する場合は適格請求書課税事業者の申請をする
  • 請求書の書式を適格請求書対応の書式に変更する
  • 受け取った消費税を納税する

免税事業者だった大家が適格請求書発行事業者の登録をすると、利益にしていた消費税を納税するため、それだけ家賃収入が減ってしまいます。しかし、適格請求書発行事業者になることで、借主が物件の契約を見送ったり、退去したりするリスクを回避できます。また、新たな契約が増える可能性もあります。

インボイス制度における経過措置の活用

インボイス制度には、急激な変化を緩和するため6年間の経過措置が適用されます。インボイス制度開始から6年間は、免税事業者からの仕入れでも決められた割合で仕入税額の控除を受けられるという措置です。

いますぐに課税業者になる決断ができない場合でも、経過措置の6年間は猶予があるため、課税業者になるかどうかをゆっくり検討できます。ただし、経過措置期間中も徐々に控除の割合が減っていくため、できるだけ早い段階で決断する必要があります。

経過措置期間中の控除割合

  • 2023年9月30日まで…控除割合100%
  • 2023年10月1日〜2026年9月30日まで…控除割合80%
  • 2026年10月1日〜2029年9月30日まで…控除割合50%
  • 2029年10月1日以降…控除割合0%
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インボイス制度で節税は可能?

消費税の納税額は「売り上げた分の消費税額-仕入れ分の消費税額」の差額ですが、対象年からさかのぼって2年前の売上が年間5,000万円に満たない場合は「簡易課税制度」を選択できます。

簡易課税制度を選択した場合「売り上げた分の消費税額×40%のみなし仕入れ率」で納税額を算出します。そのため、事業者によっては節税につながる可能性があります。ただし、簡易課税制度を利用することでかえって納税額が増えてしまうこともあるため、しっかり計算したうえで上手に簡易課税制度を利用しましょう。

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インボイス制度では収支管理が重要!

インボイス制度がはじまれば、これまで以上に支出管理をしっかり行う必要があります。いままで免税事業者だった大家が課税業者になると、確定申告で消費税の納税が必要になるため、一つひとつの契約で消費税がいくらかかっているのかなど、細かく管理しなくてはなりません。

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