2023.11.20 賃貸管理 賃貸経営不動産収入

大家がプロパンガス契約でリベートを受け取る仕組みや契約上の注意点

プロパンガス

アパートやマンションの大家には、プロパンガス供給事業者からリベートが支払われるケースがあります。このように、入居者へ生活インフラや付帯サービスを紹介することで、賃貸経営における収益性を高める手法は珍しくありません。

一方で、入居者にはその事実が知らされていないことが問題視されているのが現状です。そのため、国による取引適正化の動きもあり、今後は大家がリベート目的で契約するのは難しくなると考えられます。

大家がプロパンガス契約でリベートを受け取る手法とは?

大家がリベートを受け取る方法とはどのようなものなのか、具体的な仕組みを解説します。

プロパンガスの供給は自由競争

アパートやマンションなどの集合住宅の場合、ガス供給は全戸に配管されたガス管を通して行われます。

ガス供給事業者は各戸に対し、使用料に応じた請求を行い料金の回収をします。この方式は、都市ガスであってもプロパンガスであっても変わりません。

都市ガスは各地域で許可を受けた事業者が供給します。地域では1社だけのため、競争もなくガス供給事業者が決定され、途中で供給事業者が変わることもありません。

一方、プロパンガスは自由競争がある業界のため、供給事業者が変わることは珍しくありません。これにより、大家がリベートを受け取る仕組みが生じます。

また、新築のアパートやマンションでも、ガス供給事業者の選定時点でリベートが条件のひとつとなるケースもあります。

プロパンガス紹介リベートビジネスの仕組み

アパートやマンションなど集合住宅では、プロパンガスの配管工事や設置するガス機器類は、ガス供給事業者が大家に対して貸与する方式が多くなっています。

つまり、リース方式ですが、配管工事費やガス機器のリース料はガス使用料金と併せて入居者から集金するのが一般的で、大家は無償で貸与される方式です。

プロパンガス業界は都市ガスと異なり許可制ではないため、各社はガス供給シェアの拡大を図ろうとします。そのため、ガス供給事業者はアパートやマンションなどの大家に対して営業活動を行い、既存の物件に対しては切り替えを提案します。

提案するからには、大家にもメリットがなければなりません。切り替えの場合は、現在供給している事業者が持つ物件の配管や機器類のリース債権を買い取り、大家には金銭的な負担を与えずに供給事業者を変更する方法が採用されます。

この際、大家に対してリベートの提案をするケースもあるでしょう。

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都市ガス利用可能地域なのになぜプロパンガス?

都市ガスとプロパンガスではガス料金が異なり、配管設備を行ったあとはガス供給に人件費がかからず、都市ガスのほうが安くなります。

しかし、都市ガスが利用できる地域でも、都市ガスを供給せずにプロパンガスを利用する賃貸物件が多くあります。

大きな理由として、都市ガスの場合は道路に埋設された導管から各戸までの配管工事は大家負担で、アパートやマンションの建築費が高くなるためです。

賃貸経営を行う場合、大家ができるだけ初期投資を抑えたいと考えるのは当然のことでしょう。その結果、都市ガスを使用せずプロパンガスにする考え方は妥当ともいえます。

また、プロパンガス事業は自由営業・自由料金が原則であり、大家はガス供給事業者を自由に選択できます。一方、入居者にはガス供給事業者を選択する自由がなく、ガス料金にリース料が含まれていることを認識しないで支払っているケースも少なくありません。

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プロパンガスが問題視され取引適正化の動きも

前述したように、入居者はガス料金にリース料や大家へのリベートが含まれていることが知らされずにいる実態があります。

そのため、ガス供給の仕組みをもっと透明性のあるものにするべきだという議論があり、現在進められているのが「プロパンガスの取引適正化」の動きです。

ガス配管やガス機器の負担は誰がするべき?

集合住宅におけるガス配管やガス機器類は、大家の所有物ではなく、ガス供給事業者からの貸与となっているのが一般的です。さらに、ガスを使用しないエアコンやインターホンなどの機器についても、ガス供給事業者が設置して大家に貸与している事例もみられます。

このような事例は新築物件などの場合に、初期のガス供給事業者選定の時点で提案を受けて大家が採用しているものでしょう。

入居者は、大家が所有する建築設備と思いがちですが、実は貸与品であり、そのリース料は入居者が支払うガス料金に含まれているケースがあります。

2024年7月に改正施行規則が施行予定

プロパンガス供給に関する法律として「液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律」(液石法)があります。政府は同法に基づく施行令と施行規則を改正し、ガス料金の透明化を図り、プロパンガス業界で行われてきた好ましくない慣行を是正しようとしています。

改正施行規則は2024年7月の施行予定といわれていますが、すでに締結されているガス供給契約は対象外です。あくまでも施行日以降の新規契約に適用されますが、無償貸与契約の期限を迎える既存契約については、再契約する際に適用されるでしょう。

三部料金制の適用

プロパンガス業界に対しては、2017年の液石法省令改正で「三部料金制」の導入について、自主的な取り組みをするよう通達されています。

三部料金制とは、ガス料金の内訳を次の3つに区分した料金です。

  • 基本料金
  • 従量料金
  • 設備料金

すでに述べたガス配管・ガス機器・その他のリース機器の月あたりの分割料金を明確化すると、入居者は支払うガス料金の内訳を把握できます。

しかし、三部料金制を適用している事業者はまだまだ少なく、今後は三部料金制の適用が強く求められるでしょう。

このような変化で、ガス供給事業者は大家への貸与から入居者への貸与、無償貸与から有償貸与へと切り替える可能性があります。プロパンガス供給に存在する不透明な慣行とガス料金の適正化が進むと期待できるでしょう。

なお、三部料金制は2027年4月予定の省令改正により法制化されます。また、大家へのリベートなどは、この法制化によりなくなるのではないでしょうか。

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大家がプロパンガス契約で注意するポイント

アパートやマンションを経営する大家からすると、三部料金制導入をはじめとした「プロパンガスの取引適正化」に向けた動きは無視できません。

大家へのリベートを含むガス供給契約は今後減少し、ガス配管や機器類は無償貸与から有償貸与へと変わっていくでしょう。

ここでは、大家がプロパンガスの契約時、特にガス供給事業者を変更する場合の契約と再リース契約時の注意点を紹介します。

ガス供給事業者の変更時

アパートやマンションのガス供給事業者の変更は、次のようなタイミングで行われると考えられます。

  • オーナーチェンジによる売買で大家が変わるとき
  • ガス供給事業者の都合で変更するほうが望ましいとき

ガス供給事業者が変わると料金体系が変わる可能性があり、以前よりも高くなる場合は入居者からのクレームが予想できます。そのため、大家は入居者に対して料金体系変更の説明を丁寧に行う必要があるでしょう。

ガスの供給については、前述したように配管や機器類はリース方式になっている場合がほとんどです。契約期間中に供給事業者を変更するには、現在の事業者との契約を解除する必要があります。

契約解除には原則的に違約金が生じるため、違約金の負担により賃貸経営に大きな影響がないかを検討しなければなりません。

また、後継するガス供給事業者が以前の事業者から債権を買い取り、新たにリース契約を締結する方法が可能な場合もあるので、ガス供給事業者の変更は時間をかけて検討することが大切です。

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再リース契約時

ガス配管や機器類のリース契約期間は10~15年が一般的ですが、契約期間が終了すると再契約を締結し機器類の交換が行われます。

今後は再リース契約については、改正液石法に基づき、無償貸与から有償貸与へと変わることが予想されます。さらに、これまで契約に含まれていたリベートに関する条項はなくなるでしょう。

また、前述したようにオーナーチェンジで物件を売却する場合、ガス配管・機器類のリース負債を買主に継承させる必要があります。リース契約時の債権額の確認と契約継承について、契約条項の理解が必要です。

年間収支管理を的確に行い収支の変化を予測する

プロパンガス供給に関する課題として、三部料金制が法制化され、ガス料金の透明化が図られるようになります。それに伴い、ガス供給のための配管・ガス機器類の無償貸与から、大家がリース料を負担する有償貸与方式に変更する流れになる可能性があります。

有償貸与になると、これまでと比較して収支バランスに変化が生じ、賃貸経営に大きな影響を与える可能性が考えられるでしょう。

賃貸経営は収入の最大値が決まっている事業です。つまり、満室経営になるとそれ以上の収入増はありません。

一方、必要経費に限度はなく、経費の増加は収益性を圧迫します。アパートやマンションの大家は決算時に収支計算を行い不動産所得の申告をしますが、経費支出は変動が多く、月次の収支バランスの確認が大切です。

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アパートやマンションのガス設備が無償貸与から有償貸与へと変わる可能性がある現在、賃貸経営への影響を予測するためにも、まずはビズアナオーナーの登録をしてみましょう。


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