公開日:2026.09.30 賃貸管理 不動産経営賃貸経営経費

不動産経営の経費はどこまで認められる?判断基準を解説

不動産経営の経費はどこまで認められる?判断基準を解説

不動産経営では、固定資産税や管理費、修繕費など、さまざまな費用が発生します。

そのなかには経費として計上できるものがある一方で、「管理会社との食事代は経費になる?」「物件を見に行くときのガソリン代は?」「自宅で事務作業をしている場合、電気代は経費にできる?」など、判断に迷いやすい支出も少なくありません。

不動産所得は、収入から必要経費を差し引いて計算するため、経費を正しく把握することは税負担だけでなく、実際の賃貸経営の収支を把握するうえでも重要です。

ただし、「不動産経営に関係していそうだから」という理由だけで、すべての支出を経費にできるわけではありません。

この記事では、不動産経営ではどこまで経費として認められるのか、基本的な判断基準から、不動産オーナーが迷いやすい「グレーな経費」の考え方までわかりやすく解説します。

不動産経営ではどこまで経費として認められる?

不動産経営ではどこまで経費として認められる?

不動産経営で発生した支出が経費として認められるかを考えるうえで、まず押さえておきたいのが「不動産収入を得るために必要な支出だったか」という点です。

「領収書が残っているから経費になる」「不動産に少しでも関係していれば経費になる」というわけではないため、基本的な考え方を理解しておきましょう。

不動産所得は「収入-必要経費」で計算する

不動産所得とは、土地や建物などを貸し付けることで得られる所得のことです。

不動産所得の金額は、次の計算式で求めます。

総収入金額-必要経費=不動産所得の金額

たとえば、1年間の家賃収入などが600万円、必要経費が200万円だった場合、不動産所得は400万円となります。

総収入金額には毎月受け取る家賃だけでなく、更新料や、返還する必要のない敷金・保証金などが含まれる場合もあります。

一方、必要経費として認められるのは、不動産収入を得るために直接必要な費用などです。国税庁では主な例として、固定資産税、損害保険料、減価償却費、修繕費などを挙げています。

不動産所得や確定申告の仕組みについて詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。

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不動産オーナーの確定申告 完全ガイド【2026年版】

不動産経営をしていると、「確定申告では何をすればいい?」「どんな書類が必要?」「経費はどこまで認められる?」など、さまざまな疑問が出てくるでしょう。
こちらの記事では、不動産オーナー向けに確定申告の基本から必要書類、経費、減価償却などについて詳しく解説しています。
初めて確定申告をする方や、申告内容をあらためて確認したい方にもおすすめです。

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判断基準は「不動産経営に必要な支出か」

経費になるかどうかを判断するときに大切なのは、その支出が不動産経営に必要だったかどうかです。

たとえば、所有している賃貸物件の設備が故障し、修理業者へ修理代を支払った場合は、賃貸経営を続けるために必要な支出だと考えやすいでしょう。

一方、同じ「飲食代」であっても、管理会社の担当者と物件管理について打ち合わせをするための食事と、家族とのプライベートな食事では意味が異なります。

経費になるかどうかは、費用の名称だけで一律に決まるものではありません。

「何にお金を使ったか」だけではなく、

・誰に対して支払ったのか
・何のために支払ったのか
・所有物件や賃貸経営とどのような関係があるのか

といった点から考える必要があります。

プライベートな支出は原則として経費にならない

生活費や趣味に使った費用など、個人的な支出は原則として不動産所得の必要経費にはできません。

注意したいのが、仕事とプライベートの両方で使用しているものです。

たとえば、不動産会社との連絡にも家族との連絡にも使用しているスマートフォンや、物件の見回りにも買い物にも利用している自家用車などが該当します。

このような費用を「家事関連費」といいます。

家事関連費については、業務上必要な部分を明確に区分できる場合、その部分に相当する金額を必要経費にできる場合があります。

そのため、「仕事でも使っているから全額経費」という考え方ではなく、どの程度を不動産経営に利用しているのかを説明できるようにしておくことが重要です。

不動産経営で経費になる主なもの

不動産経営で経費になる主なもの

それでは、不動産経営では具体的にどのような費用が経費になるのでしょうか。

ここでは、代表的なものを紹介します。

固定資産税などの税金

賃貸している土地や建物にかかる固定資産税や都市計画税などは、不動産経営に関係する部分について必要経費にできます。

一方、所得税や住民税は必要経費にはなりません。国税庁でも、固定資産税は業務用部分に限って必要経費になる一方、所得税や住民税は必要経費にならないとしています。

税金であれば何でも経費になるわけではない点に注意しましょう。

管理費・管理委託料

賃貸物件の管理を管理会社へ委託している場合に支払う管理委託料も、一般的に必要経費になります。

たとえば、

・家賃の集金
・入居者からの問い合わせ対応
・契約更新業務
・建物の清掃や点検

など、不動産経営に必要な管理業務を委託するための費用です。

区分マンションを賃貸している場合は、管理組合へ支払う管理費なども、不動産経営に関係する支出として扱われる場合があります。

修繕費

賃貸物件を維持するための修理・修繕にかかった費用も、必要経費になる代表的なものです。

たとえば、壊れた設備の修理や原状回復など、通常の維持管理や修理のための支出は修繕費として必要経費になる場合があります。

ただし、工事をすればすべてその年の修繕費にできるわけではありません。

建物の使用可能期間を延ばしたり、資産価値を高めたりする工事については「資本的支出」と判断され、原則として減価償却によって複数年にわたって経費化します。名称ではなく工事の実質によって判断される点にも注意が必要です。

金額が大きい工事や判断が難しい工事については、税理士などの専門家へ確認すると安心です。

減価償却費

建物や設備など、長期間にわたって使用する資産については、購入した年に取得金額のすべてを経費にするのではなく、耐用年数に応じて複数年に分けて必要経費にしていきます。

これが「減価償却」です。

不動産経営では金額が大きくなりやすいため、減価償却費は収支や所得に大きく影響する項目のひとつです。

また、実際にその年に現金が出ていなくても経費として計上されるため、帳簿上の利益と手元に残る現金に差が生まれる要因にもなります。

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節税対策|減価償却費コントロール術

不動産経営では、減価償却費が所得やキャッシュフローに大きく影響することがあります。一方で、「減価償却の仕組みがよく分からない」「どのように経費として計上されるの?」と疑問を感じる方もいるでしょう。
こちらの資料では、減価償却の基本的な考え方から、購入時の建物金額や耐用年数など、減価償却費を考える際に押さえておきたいポイントを解説しています。

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借入金の利息

賃貸物件を購入するためにローンを利用している場合、借入金の返済額のうち、利息部分は必要経費になる場合があります。

ただし、借入金の元本部分は必要経費にはなりません。

毎月のローン返済額をそのまま経費にするのではなく、元本と利息を分けて考える必要があります。

また、不動産所得が赤字となった場合、土地取得にかかる借入金利子に相当する赤字部分は、給与所得などとの損益通算ができないルールもあります。

税理士など専門家への報酬

不動産経営に関連して税理士などの専門家へ依頼した費用も、業務との関連性に応じて必要経費になる場合があります。

たとえば、不動産所得の確定申告を税理士へ依頼した際の報酬などです。

ただし、依頼内容に不動産経営とは関係のない個人的な相談などが含まれている場合は、すべてを不動産所得の必要経費として扱えるとは限りません。

ほかの費用と同様、「不動産収入を得るために必要な支出か」という基準で考えましょう。

注意!不動産オーナーが迷いやすい「グレーな経費」

注意!不動産オーナーが迷いやすい「グレーな経費」

固定資産税や管理委託料などは比較的判断しやすい一方、不動産経営には「経費になるのか判断が難しい支出」もあります。
特に、プライベートでも利用するものや、不動産経営との関連性を第三者から見て判断しにくい支出には注意が必要です。

ここからは、不動産オーナーが迷いやすい代表的なケースを見ていきましょう。

管理会社や不動産会社との飲食代

管理会社や不動産会社の担当者などとの飲食代は、その目的によっては必要経費として認められる場合があります。

たとえば、所有物件の管理や今後の募集方針について話し合うために、管理会社の担当者と食事をしたケースなどです。

一方、単なる個人的な付き合いやプライベートな食事であれば、不動産経営の経費とは考えにくくなります。

大切なのは、「管理会社の人と食事をしたから経費」と考えるのではなく、その飲食が不動産経営にどのように関係していたのかです。

飲食代や接待交際費については、以下の記事で具体的なケースを紹介しています。

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不動産所得で経費になる接待交際費はどこまで?具体的なケースを紹介

管理会社や不動産会社との飲食代などについて、「接待交際費として経費にできる?」「どこまでなら認められる?」と迷う不動産オーナーも多いのではないでしょうか。
こちらの記事では、不動産所得における接待交際費の考え方を具体的なケースとともに解説しています。
通信費や水道光熱費、家賃、車両費など、プライベートと不動産経営の両方に関係しやすい経費についても紹介しています。

【おすすめポイント】

✅ 接待交際費として経費にできるケースが分かる
✅ 飲食代を経費にする際の考え方を確認できる
✅ 通信費や家賃、車両費など迷いやすい経費についても学べる

車・ガソリン代・交通費

物件の見回りや修繕の立ち会い、管理会社との打ち合わせなど、不動産経営のために移動した際の交通費は必要経費になる場合があります。
電車やバス、タクシーなどの交通費だけでなく、自家用車を利用している場合にはガソリン代や駐車場代なども検討対象になります。

ただし、自家用車を日常生活にも使っているのであれば、すべてを不動産経営の経費にするのは適切とはいえません。

「年間の走行距離のうち、物件管理のために何km走行したか」など、業務に使った部分を合理的に区分できるようにしておくことが大切です。

スマートフォン・インターネット代

管理会社や入居者との連絡、物件情報の確認、確定申告のための情報収集など、不動産経営ではスマートフォンやインターネットを使用する機会も多いでしょう。
不動産経営専用の端末や回線であれば業務との関連性は説明しやすいですが、プライベートでも同じスマートフォンや自宅のインターネットを使用しているケースも少なくありません。

この場合も、業務に使用した部分を明確に区分して考える必要があります。

「たまに管理会社へ電話するから通信費を100%経費にする」といった処理ではなく、実際の利用状況に応じた考え方が求められます。

自宅の家賃・水道光熱費

自宅で不動産経営の帳簿をつけたり、管理会社とやり取りをしたりしている場合、自宅の家賃や水道光熱費について「一部を経費にできないか」と考える方もいるでしょう。
このような費用も、業務に直接必要な部分を明確に区分できる場合は、必要経費として認められる可能性があります。

たとえば、自宅の一室を不動産経営の事務作業専用として使用しているのであれば、その使用面積などをもとに家賃を按分する方法が考えられます。

ただし、単に自宅でメールを確認したことがあるといった理由だけで、家賃や光熱費の大部分を経費にできるとは限りません。

実際の使用状況に応じた合理的な根拠が必要です。

書籍・セミナー・資格取得費

不動産経営に関する専門知識を身につけるために購入した書籍や、セミナーの参加費なども、内容によっては必要経費になる場合があります。

たとえば、賃貸経営や税務、物件管理など、現在行っている不動産経営に直接関係する内容であれば、業務との関連性を説明しやすいでしょう。

一方で、「将来役立つかもしれない」という程度のものや、不動産経営との関連性が薄い勉強・資格取得まで、すべて経費になるとは限りません。

何を学んだかだけではなく、現在の不動産経営にどのように必要だったのかという視点で考えることが大切です。

不動産収入を得るために必要な支出か

不動産収入を得るために必要な支出か

ここまで見てきたように、不動産経営の経費には、項目名を見るだけでは判断できないものが少なくありません。

「これは経費になる?」と迷ったときは、次の3つのポイントから考えてみましょう。

不動産収入を得るために必要な支出か

まず考えたいのが、その支出は不動産収入を得るために必要だったかという点です。

たとえば、入居者募集のために管理会社へ支払う費用であれば、家賃収入を得ることとの関連性は明確です。

一方で、自分の趣味として購入したものに「不動産の勉強にも少し使った」という事情が加わっただけでは、不動産経営との関連性を説明するのは難しくなります。

迷ったときは、

「この支出は何のために必要だったのか」
「この支出と所有物件・賃貸経営との関係を第三者に説明できるか」

と考えてみるとよいでしょう。

プライベートの支出と明確に分けられるか

次に、不動産経営とプライベートの両方に関係する支出の場合は、業務部分を明確に区分できるかを確認します。

国税庁の通達では、家事関連費について、業務上必要な部分が50%以下の場合でも、その部分を明確に区分できれば必要経費への算入が認められるとされています。

つまり、「仕事でも使ったから全部経費」「仕事のほうが多そうだから何となく70%」と決めるのではなく、使用時間や使用面積、走行距離など、実態に合った根拠を持つことが大切です。

「なぜ必要だったか」を説明できる記録が残っているか

経費として計上した支出については、後から「何のために使ったお金なのか」を確認できる状態にしておくことも重要です。

領収書やレシートには、金額や店名は記載されていても、「誰と何のために利用したか」までは記載されていないことがあります。

たとえば飲食代であれば、

・管理会社の担当者○○さんと
・○○マンションの空室対策について打ち合わせ

など、支出の目的を記録しておけば、不動産経営との関係を後から振り返りやすくなります。

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大家さん専門税理士が語る!年末経費の落とし穴|Q&Aで学ぶ確定申告で損しない節税対策

「この支出は経費になる?」「プライベートでも使っている費用はどう考えればいい?」など、経費の判断に迷う場面は少なくありません。
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「経費にできる?」と迷ったときこそ記録が重要

「経費にできる?」と迷ったときこそ記録が重要

経費になるかどうかは、確定申告の時期になって初めて考えるのではなく、支出した時点から意識しておくことが大切です。

時間が経ってから領収書を見ても、「これは何のために使ったんだっけ?」となってしまうことがあります。

判断に迷いやすい支出ほど、日頃から記録を残しておきましょう。

支出の目的を残しておく

領収書やレシートを保管するのはもちろんですが、それだけでなく、支出の目的も一緒に記録しておくと安心です。

特に、

・飲食代
・交通費
・書籍代
・セミナー参加費

などは、レシートだけでは不動産経営との関係がわからない場合があります。

帳簿や領収書の余白、経費管理に利用しているシステムなどに、物件名や用途を簡潔に記録しておくとよいでしょう。

誰と・何のために使ったか記録する

接待交際費など、人とのやり取りに伴って発生する費用については、「誰と」「何のために」使ったのかを残しておくことも重要です。

たとえば「飲食代 8,000円」という記録だけでは、仕事なのかプライベートなのか判断できません。

一方、「○○管理会社・△△さんと、Aマンションの入居者募集について打ち合わせ」などと記録しておけば、支出の目的が明確になります。

確定申告の際に必要となる書類や、経費に関する領収証などについては、以下の記事でも詳しく紹介しています。

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アパート経営の確定申告で必要な書類!青色と白色の違いは?経費に該当するものは?

確定申告に向けて、「どの書類を残しておけばいい?」「領収書はどう管理すればいい?」と悩む方もいるでしょう。
こちらの記事では、アパート経営の確定申告で必要となる書類や、青色申告・白色申告の違い、経費に該当するものなどを詳しく解説しています。
帳簿や領収書など、日頃から保管しておきたい書類を確認したい方にもおすすめです。

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家事按分には合理的な根拠を持つ

自宅の家賃や光熱費、スマートフォン代、自家用車の費用など、プライベートと不動産経営の両方に関係する費用を分けることを「家事按分」といいます。

家事按分で重要なのは、割合そのものだけでなく、なぜその割合にしたのか説明できることです。

たとえば、

・自宅の床面積のうち仕事専用スペースが占める割合
・スマートフォンを業務に使用した時間や頻度
・自動車の年間走行距離のうち物件管理に利用した距離

など、支出の性質に合った基準を考えます。

家事関連費については、業務上必要な部分を明らかに区分できることが重要とされています。

一律に「50%なら大丈夫」といった基準があるわけではありません。実際の利用状況に合わせて割合を決め、その根拠を説明できる状態にしておきましょう。

ケース別にもっと詳しく知りたい方へ|グレーな経費を正しく計上する方法

不動産経営では、固定資産税や管理費のように比較的判断しやすい経費がある一方で、

「管理会社との飲食代はどこまで経費になる?」
「自宅の家賃は何%まで経費にできる?」
「車やスマートフォンをプライベートと兼用している場合は?」

など、簡単には判断できない支出も少なくありません。

大切なのは、「経費になるものの一覧」を覚えることではなく、不動産経営との関連性や利用実態をもとに、その支出を経費として計上する根拠を持つことです。

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