大家が利用できるリフォームの補助金|リフォームの効果についても解説
アパート経営においては国や自治体が定める補助金制度をうまく活用することにより、リフォームにともなうコストを削減できます。
アパート経営の収入源は家賃収入ですが、家賃収入は大幅な増加が見込めないことから、できるかぎりコスト削減に努めることが、収支を安定させる重要なポイントです。
不動産に関する、国や自治体の補助金は多く存在しています。しかし、そのほとんどが一般的には知られていないため、正しく活用されていないのが現状です。
大家がリフォームに利用できる補助金制度を紹介します。
【2024年】大家が利用できるリフォームの補助金
大家が利用できる、賃貸物件のリフォームにともなう補助金制度は以下のようなものがあります。
- 長期優良住宅化リフォーム推進事業
- 既存住宅における断熱リフォーム支援事業
- 次世代省エネ建材の実証支援事業
- 住宅セーフティネット制度
長期優良住宅化リフォーム推進事業
長期優良住宅化リフォーム推進事業は、省エネ化や子育て世帯向けの改修を含む、集合住宅やその他既存住宅のリフォームを支援しています。
補助金はリフォーム費用の3分の1で、限度額は1戸あたり最大100万円、長期優良住宅の認定を受けた場合は1、戸あたり最大200万円となります。
工事の対象となるのは、耐久性や耐震性、エネルギー効率など、特定の性能指標を改善するものです。これには、建物の構造的な劣化対策、耐震性強化、省エネ対策などが含まれます。
補助金は予算内で提供され、予算を超えると募集は終了します。
参考:国土交通省「長期優良住宅化リフォーム推進事業」
※令和6年度事業については未発表です(令和6年3月時点)
既存住宅における断熱リフォーム支援事業
高効率の建築材料を使って断熱性能を向上させることにより、エネルギー使用の効率化と炭素排出量の削減を目指すリフォームに対して支援をしています。
断熱工事を施すことで、住宅の内部は、夏涼しく冬暖かい状態が保たれ、居住環境が改善されます。さらに、冷暖房設備の性能向上により、エネルギー費用が節約できるという利点もあります。
この支援には、家全体の断熱改修と、生活の中心である居間だけを対象とした断熱改修の2つのオプションがあり、それぞれで支援内容が異なります。どちらも予算が設定されており、募集期間内に申し込む必要があります。
補助金の額は、アパートなどの集合住宅で全戸が対象の工事を行う場合、1戸あたり15万円です。
対象となるのは、断熱材や窓、ガラス、玄関ドアなど、高性能建築材料を使用したリフォームです。
参考:公益財団法人「既存住宅における断熱リフォーム支援事業」
次世代省エネ建材の実証支援事業
次世代省エネ建材の実証支援事業は、工期を短縮できる高効率断熱材や蓄熱、調湿機能を持つ次世代の省エネ建材の使用を促し、その効果を実証することを目的としています。
これらの省エネ建材を活用したリフォームは、個別住宅も集合住宅も対象です。
補助金の上限は、集合住宅が1戸あたり125万円、補助金の下限額は20万円です。
この支援を受けるには、断熱パネルや潜熱蓄熱建材(せんねつちくねつけんざい)など、本事業に登録されている製品を利用する必要があります。
参考:一般社団法人 環境共創イニシアチブ「令和5年度 次世代省エネ建材の実証支援事業」
※令和6年度事業については未発表です(令和6年3月時点)
住宅セーフティネット制度
住宅セーフティネット制度は、高齢者、障害者、子育て家庭など、特別な配慮が必要な方々に向けて、民間の利用されていない家や部屋を使い、安心して住める環境を提供する制度です。
物件所有者がこの制度に登録すれば、自分の物件が専用システムに掲載され、住まいを求める人々に提供することができます。家賃の回収に関する不安があるかもしれませんが、家賃支払いの補助や債務保証の手当てが整っているため、安心して入居者を受け入れることができます。
補助金に関しては、住宅セーフティネット制度を利用することで、バリアフリー化、耐震性の向上、間取りの変更、子育て家庭への対応など、入居者のニーズに合わせた改修工事に対して費用の補助が得られます。
参考:国土交通省「住宅セーフティネット制度について」
賃貸物件のリフォームはどのくらい効果がある?
賃貸物件のリフォームには、どれほどの効果が見込めるのでしょうか。
効果を理解し、目的を明確にすることで、必要なリフォームを的確に実施することができます。
空室改善
アパート経営の収支は単純に考えると「家賃収入」から「各種費用」を差し引いたものと考えられます。
つまり家賃収入とは「家賃」と「部屋数」の掛け算であり、それが費用を下回った場合は赤字経営に陥ります。
そのため空室の増加、長期的な空室の継続はアパート経営にとって致命傷となりかねないため、最優先で改善しなければなりません。
空室改善を目的としたリフォームをするのであれば、単純に部屋を奇麗にしたり設備投資をすることではなく、周辺のライバル物件との差別化を図ることが重要です。
たとえば、設備投資であれば、近年の新型コロナウイルスの流行によるリモートワークの定着により、無料かつ高速のネット環境が求められています。
以前まで人気だったオートロックや宅配ボックスを設置しているアパートは多く存在しますが『高速のネット環境が無料で使えるアパート』は、そこまで多くありません。
「現在のニーズに応じた差別化できるリフォーム」、これが空室対策には重要なポイントです。
関連記事:空室対策のアイデア集|本当に有効な方法は?注意すべきポイントも紹介
関連記事:空室対策のアイデアとは?アパート経営でリスクを減らす方法を解説
利回りの確保
築年数が経過したことで建物自体が劣化したり、付帯する設備が古くなることで市場価値が低下します。市場価値が低いアパートでは新たな入居者の募集が困難です。
それを解消する手立てが「家賃を下げる」か「リフォームをする」かです。
資金が不要で手軽に実施できるのは家賃を下げることですが、一度でも下げた家賃は将来的に戻すことは難しくなり、唯一の収入源である家賃収入を自ら減らすことにつながります。
そのため利回りを長期的に確保するためには、費用対効果を考えながらリフォームを実施することが重要です。
関連記事:不動産投資の平均利回りは何パーセント?最低ラインや利回りを高くするコツを紹介
リフォーム費用を抑える方法
国や自治体による補助金以外にもリフォーム費用を抑える方法が存在します。
本当に、そのリフォームが必要なのか、費用をかけすぎていないかを考えることも重要ですし、実施する際に相見積もりを取得することも重要です。
何より手先が器用な方であれば、簡単なリフォームを自ら行うことも考えられます。
必要性を考える
アパート経営で失敗しやすいのが、リフォーム費用をかけ過ぎて回収が困難になるケースです。
所有するアパートでリフォームをする場合、「ついでにこれも直そうかな」「どうせならワンランク高い素材にしようかな」など、余分なリフォームをついついしたくなるものです。
これはマイホームを購入するときと同じで、今しかないと思う心理と自分が所有するアパートに愛着があるためです。
あくまでリフォームは空室の改善や家賃低下の防止策の一環であり、それにより大幅に家賃収入が増加する訳ではないことを理解する必要があります。
たとえば、家賃7万円の部屋に84万円のリフォームを施した場合は「7万円×12カ月=84万円」と1年間の家賃収入を手にしてはじめて相殺されます。
リフォームは必要性のある内容かどうか、補助金などで費用を抑えられるかを考慮することが重要です。
DIYにチャレンジしてみる
副業でアパート経営を営む方には、簡単な修繕やリフォームを自ら行うことがあります。
リフォームをするための時間は必要ですが、実質材料費のみで行えるため費用削減効果は高いでしょう。
壁紙の張替えやフローリングのワックス掛け、トイレの交換や温水洗浄便座(ウォシュレット)の設置などをリフォーム業者に依頼すれば人件費も含めて数十万円程度の費用が必要です。
それが材料費の数万円程度で行えるとなると、チャレンジする価値は高いものです。
技術的に不安な方は、閑散期にリフォーム業者へ依頼して(邪魔にならない程度で)いろいろと質問したり、実際の作業を見ることで学ぶ方法もあります。
また、株式会社CBITの「Re;deco」では賃貸物件のデコレーションをまるっとお任せができます。数万円でプチリノベーションができ、周辺物件の差別化がはかれます。
相見積もりは基本
複数のリフォーム業者に対して、相見積もりを依頼することで不要な費用負担を抑えることが可能です。
リフォームにともなう材料費や施工費用などは大きな差がないかもしれません。しかし、施工する職人の人件費については、依頼先によって大きな違いが現れます。
相見積もりをとることで、市場価格を把握できるとともに、不明確な項目であったり高額すぎる金額などに気付くこともできます。
普段からお付き合いのあるリフォーム業者が存在しないのであれば、1社だけではなく複数の会社に見積もり依頼をすることで、費用削減にもつながります。
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